日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『あの娘にキスと白百合を』
『あの娘にキスと白百合を』第4巻
缶乃 KADOKAWA ¥550+税
(2016年2月23日発売)
『あの娘にキスと白百合を』……もうこのタイトルと表紙だけで「キマシタワー」が雲を突き破ってそびえ立ちそうな百合コミックだけれど、中身を読むに至っては楽勝で成層圏を突破することうけあい。
高校1年生になった仮面の優等生・白峰あやかは、不断の努力で確保してきた学年ナンバー1の座を天才少女・黒沢ゆりねに奪われる。
「打倒・ゆりね」に燃えるあやかだが、そんな憎きライバルにファーストキスを……という努力型秀才少女と天然系天才少女の関係を軸として、彼女の親友であったり、あるいはそんな2人をそっと見つめる少女であったり、と様々な人間関係を群像劇的に描いていく。
そこには恋があれば友情もあり、愛ゆえの憎しみさえもが描かれるなか、彼女たちのかけがえのない学園の時間は刻一刻と過ぎていく。
出会いがあれば別れがあって、新たな出会いもある。
第4巻で中心的に描かれるのは、そうして過ぎていく時間のなかで、お互いの関係性を再構築していく2人の少女の話である。
尊い……。
『あの娘にキスと白百合を』には、人生の大切なことがつまっているんだよ……。
<文・前島賢>
82年生、SF、ライトノベルを中心に活動するライター。朝日新聞にて書評欄「エンタメ for around 20」を担当中。
Twitter:@maezimas