日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『火ノ丸相撲』
『火ノ丸相撲』第9巻
川田 集英社 ¥400+税
(2016年4月4日発売)
身長152センチの超小兵ながら国宝「鬼丸国綱」の異名を持つ潮 火ノ丸(うしお・ひのまる)が、無名の大太刀高校(ダチ高)相撲部を率いて快進撃を繰り広げる青春国技マンガが、胸熱の展開を迎えた。
インターハイ千葉県予選の団体戦で、ライバル・石神高校を下してみごとに優勝!
全国大会への切符をつかみ取ったダチ高相撲部だったが、よろこびもつかの間、直後に始まった個人戦においては、仲間同士で火花を散らすことに。
この第9巻の副題は「潮 火ノ丸と小関信也」。火ノ丸と小関部長が公式戦において対峙することになる。
部長といえば、火ノ丸が入部するまでの2年間、ダチ高相撲部をひとりで守り抜いてきた男。五條佑真(ごじょう・ゆうま)をはじめとするヤンキー集団に道場を占拠され、コケにされても腐らずに黙々と稽古を積んできた努力家だ。
まだ1年生の火ノ丸に対して部長は3年生。2人が公式戦で勝負をするのは、これが最初で最後である。辻 桐仁(つじ・きりひと)が監督に就任して以来、ようやく努力が結果に結びついてきたとはいえ、部長と火ノ丸の実力にはかなりの開きがある。
だが、火ノ丸は団体戦で右腕を負傷しているため、つけいるスキがないわけではない。
はたして部長は金星をあげることができるのか――? 様々な想いが土俵上で交錯するなか、大一番に決着がつく。
この個人戦、石神高校相撲部の同門対決(荒木源之助×真田勇気)や、石神高校の金盛 剛と川人高校の大河内学の対戦など興味深い組みあわせが多かったが、連載ペースの都合もあって、デジタルに進んでしまったのがちょっと残念。
まあ、このあたりまで詳細に描いていると、個人戦だけで1年くらいかかっちゃうのでしかたがありませんな。
千葉県予選優勝を受けて、ダチ高の生徒たちの相撲部を見る目も変わり、かわいい女子マネまで加入して、いよいよ役者が出揃ってきた。
ただし、火ノ丸がずっと憧れてきた高校横綱・天王寺獅童(てんのうじ・しどう)を擁する鳥取白楼高校にたどりつくまでの道のりは、長く険しい。
どこまでも王道の燃える展開に、読んでいるこっちまで血がたぎる!
<文・奈良崎コロスケ>
中野ブロードウェイの真横に在住。マンガ、映画、バクチの3本立てライター。4月23日公開『アイ アム ア ヒーロー』の劇場用プログラムに参加しております。
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