365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
5月31日はビッグ・ベンが動き始めた日。本日読むべきマンガは……。
『プリーズ、ジーヴス』第1巻
P.G.ウッドハウス(作) 勝田文(画) 森村たまき(訳) 白泉社 ¥590+税
1859年の今日5月31日は、ロンドン・ウェストミンスター宮殿のビッグ・ベンの大時計が動き始めた日だ。
ビッグ・ベンの鐘の音は、学校のチャイムの大元となったメロディとして有名で、日本人にも非常になじみ深いもの。
(ただし修繕工事のため、来年始めから数カ月は鳴り止むというニュースも入っているので、この先ロンドンに旅行される方は注意されたし)
ビッグ・ベンはその姿も音色も、まさにロンドンとイギリスの象徴とも言える大時計。
その記念日である今日は、イギリス色たっぷりの作品をご紹介するのがふさわしいだろう。
ということで、イギリスの人気ユーモア小説家P.G.ウッドハウスの代表作をコミカライズした『プリーズ・ジーヴス』の登場である。
舞台は19世紀のロンドン。
脳天気な貴族・バーティーの日々の暮らしは、その執事(本当はvalet/従者らしい)であるジーヴスが切り盛りしていると言っても過言ではあるまい。
珍妙な交友関係ばかりを持ち、自身もかなりお花畑な性格のバーティーには、毎日のようにハプニングや事件が降りかかる。
それを思いもかけない方法で、みごとに解決してしまうのは、すべて敏腕執事ジーヴスの力なのだ。
たとえばバーティーの望まない縁談話、竹馬の友である恋多きビンゴの恋愛話、エトセトラ。
もつれにもつれたストーリーを、快刀乱麻を断つ如くけりをつけてくれるジーヴス。
一読すれば、自分もぜひこんな執事がほしい! と思うことうけあいだ。
この作品の特徴は、なんと言ってもイギリスらしいユーモアに満ちたところにある。
少し皮肉まじりで、大笑いではなくクスッと笑う感じの、しゃれた味わいなのだ。
さらに登場する服装や調度、様々な行事などで英国文化がたっぷり味わえるうえに、原作の翻訳者による作品にまつわるミニコラムもついて、イギリス好きにはたまらない1冊。
今日はぜひ、『プリーズ・ジーヴス』でイギリスの空気に浸ってみてはいかがだろうか。
<文・山王さくらこ>
ゲームシナリオなど女性向けのライティングやってます。思考回路は基本的に乙女系&スピ系。
相方と情報発信ブログ始めました。主にクラシックやバレエ担当。
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