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『鬼畜ようじょサドみちゃん』 ぱげらった 【日刊マンガガイド】

2016/08/28


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『鬼畜ようじょサドみちゃん』


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『鬼畜ようじょサドみちゃん』
ぱげらった 一迅社 ¥680+税
(2016年7月27日発売)


もともとはWEBマンガとして連載され、その後同人誌で出版されていたものをまとめた作品集。

表紙にたくさん載っている「サドみちゃん」が、学校で鬼畜の限りを尽くすマンガ。……なのだが、なんだろうこの違和感。
「サド」という名前にひっぱられるのがこのマンガのワナ。「サディズム」とは「攻撃的行動を取って快感を得る」こと。ところがサドみちゃんは、そもそも楽しんでいるのかまったくわからない。表情が最初から最後まで、まったく変わらないからだ。

これは「躁」のマンガだ。
電撃のような髪の毛が物語っているように、ものすごいテンションが高い時にひたすらブレーキをかけず行動してしまうような、感情の振りきれた状態。

背中に氷を入れたり、水鉄砲で硫酸(?)をぶっかけたり、給食のカレーでごはんだけ山盛りにしたり、友だちのバイオリンをぶっ壊そうとしたり、友だちの机の上に花瓶を置いたり、手榴弾を手渡したり……なんだか、いたずらの規模の振り幅が、やけにでかい。
これをずーっと同じ顔でやるもんだから、見ていて価値観がどんどん狂ってくる。

そのほかにも、ドジなテロリストのテロみちゃん、華奢で死にかけているヘロみちゃん、常に目を見開いて相手を睨みつけるジトみちゃん、エコを極めすぎてロボになったエコみちゃん、白くないと気がすまないシロみちゃんなど、キテレツな幼女が勢ぞろい。みんな自分のことを信じて疑わないから、衝突し続けるのなんの。
もっともクレイジーなのは、四白眼でカッと振り返るニドみちゃん。極端に“2”が好きで、自分がなんらかの“2”じゃないと気がすまない。“2”のために命をかける。理由がない上に、やたら攻撃的。もう強迫観念としか思えない。

ピリピリする躁状態がみっちり詰まっているので、一冊いっぺんに読むと疲弊します。
からすみをちびちび酒のツマミとして食べるように、一冊をちょっとずつ分けて味わうのがオススメ。
徹夜明けの人はその勢いで一気に読むとトリップできるよ。



<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」

単行本情報

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