日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『サタニスター 完全版』
『サタニスター 完全版』第1巻
三家本礼 KADOKAWA ¥780+税
(2016年1月25日発売)
3月に公開が迫る実写版『血まみれスケバンチェーンソー』もメチャクチャ期待が高まる今日このごろ。
そんななか、その原作者である三家本礼が手がけた『サタニスター』が、「完全版」という形で刊行されるというありがたい事態とあいなった。
『血まみれスケバンチェーンソー』のアッパーなバイオレンス描写がツボだった人なら、必ずやこちらも気に入ることは間違いないので、未読の方はこの機会にぜひ買うべし!
そして「完全版」とうたうだけあって連載時のカラー原稿も完全再録されているので、すでに旧版の単行本を持っているファンも、やっぱり買うべし!
あらためて内容についても軽く触れておくと、「サタニスター」と呼ばれる“悪魔寄りのシスター”が、悪霊の宿るナックルを両腕にはめて「特殊殺人鬼」たちをブチのめす! だいたい以上!!
……というのはウソで、『血まみれスケバンチェーンソー』でもそうであったように、意外なほど仲間との共闘がアツかったりもするのだが、そこに至るまでの経緯も見どころではあるので、だれと共闘するかはあえて伏せておこう。
とりあえず“これはヒドい”が褒め言葉になるマンガだと思っていただければ、ほぼ間違いない。
そして三家本礼作品に欠かせないものといえば“とんでもなく狂った敵キャラ”だが、もちろん本作でもその持ち味は超全開!
宿敵・バルキリーからして、信じられないほど非道残虐であることは当然として、バトルの前には「あえてストレスをためる」ために単発の清掃アルバイトなどをするといった描写も冴えまくり。
ほかにも、平たく言えば「ヤバい奴」が山ほど登場……と言うか、主人公サイドを含めてほぼ全キャラがイカれているし、そこが最高!! それでいて、読後感はちっとも嫌な感じが残らないのもすばらしいところであります。いやまぁ、血や死体が苦手な人は別ですが……。
なお、古くからのファンは「旧版の単行本にあった『まいにち日記』が載ってない!」と思われるかもしれませんが、そちらは完全版の3巻にてまとめて収録されているのでご安心のほどを。
<文・大黒秀一>
主に「東映ヒーローMAX」などで特撮・エンタメ周辺記事を執筆中。過剰で過激な作風を好み、「大人の鑑賞に耐えうる」という言葉と観点を何よりも憎む。