日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『逃げるは恥だが役に立つ』
『逃げるは恥だが役に立つ』第8巻
海野つなみ 講談社 ¥429+税
(2016年10月13日発売)
いよいよ新垣結衣&星野源主演のテレビドラマの放送が開始され、エンディングの「恋ダンス」も話題の『逃げるは恥だが役に立つ』。そのコミックス第8巻が発売された。
恋愛感情のない契約結婚をして、妻と夫でありながら従業員と雇用主という関係でもある主人公2人。
心理学を専攻して大学院まで出たのに就活がうまくいかなかった森山みくりと、アラフォー童貞の津崎平匡(つざき・ひらまさ)との、それぞれの煩悶がリアルなこの作品。
みくりの叔母の高齢処女「百合ちゃん」や、イケメンなのに女性に冷たい「風見さん」など、脇役陣も魅力的だ。
恋愛弱者とも言える主人公2人が、比較的普通の夫婦になってしまう展開にがっかりした読者も多いかもしれないが、別の意味でこじらせまくって恋愛がうまくいかない百合ちゃんと風見さんの関係が今回は難航。
風見さんにアタックし続ける「ポジティブモンスター(略してポジモン)」の五十嵐さんのキャラも立ってきて……まだまだ目が離せない。
もうひとつ、本作の読みどころである「主人公みくりの仕事」という側面。平匡さんの家事を代行するだけでなく、今回は商店街の町おこしに大活躍する。
みくりと平匡さんがくっついてハッピーエンドってのもおもしろくないなと思っていたけど、安易に万事解決ということにならないのはさすが。
これからの展開が気になる。
<文・永田希>
書評家。サイト「Book News」運営。サイト「マンガHONZ」メンバー。書籍『はじめての人のためのバンド・デシネ徹底ガイド』『このマンガがすごい!2014』のアンケートにも回答しています。
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