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1月27日は「宇宙条約」に各国が署名し開放した日 『アステロイド・マイナーズ』を読もう! 【きょうのマンガ】

2017/01/27


365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。

1月27日は宇宙条約に各国が署名し開放した日。本日読むべきマンガは……。


ASTEROIDminers_s01

『アステロイド・マイナーズ』 第1巻
あさりよしとお 徳間書店 ¥562+税


1月27日は「宇宙条約」に各国が署名し開放した日。
「宇宙条約」は通称で、正確には「月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約」と言い、国際的な宇宙法の基礎になった条約だ。
1967年のこの日、イギリス、ロシア、アメリカの間で署名が行われた。
宇宙空間における探査と利用の自由、領有の禁止、宇宙平和利用の原則、国家への責任集中原則などを定めている。

さて、そんな宇宙条約ゆかりの日にふさわしいマンガといえば、あさりよしとおの『アステロイド・マイナーズ』をおいてほかにない。

時はやや未来。
ところは宇宙。

『アステロイド・マイナーズ』は、同じ世界での宇宙開発のさまざまな場面を描いた連作短編。
宇宙や科学技術に関するウンチクが散りばめられた宇宙科学マンガで、同じ作者による『まんがサイエンス』を思い出させる部分もある作品だ。
学習マンガというとほのぼのとしたある種の空気感が思い浮かぶが、この作品で語られる科学知識は身につけざるをえない必須要項。
なにせ舞台は宇宙。ひとつの油断の結果がもたらすのは、一も二もなく死だけだ。

小惑星上にプラントを作る労働者。
軌道ステーションに宇宙船を初フライトさせる宇宙飛行士。
小惑星上の基地に生まれ育った子どもたち。
宇宙戦闘機の開発に執念を燃やす、追いつめられた独裁者。
月面基地から地球に向けて広報放送をする宇宙パイロット。
ごく小さな小惑星で資源採掘する渡りの鉱夫。
富める者から貧困にあえぐ者まで、生まれも育ちも異なる登場人物たちを通して、宇宙時代をかたちづくる社会の様子が描き出される。

また、いくつかのエピソードで関連する要素が登場するのもおもしろい。 あるキャラクターが兄弟関係だったり、ある回で打ち上げた小惑星探査機を別のエピソードでながめていたり。 時代設定は前後しながら、それぞれがゆるくつながっていたりする。

最後のフロンティアとして宇宙にロマンを抱く者。
小惑星に生まれ、地球の自然に憧れを持つ少年。
小惑星暮らしを抜け出し、地球への移住を切望する若者。
夢や希望すら飲み込まれかねない過酷な宇宙開発の実情や、非情な宇宙空間でのルールまでが描かれているのもいい。

それでも宇宙に憧れ、“上”を目指す人々。
『アステロイド・マイナーズ』を読んで、来るべき宇宙開発時代に思いをはせよう!



<文・秋山哲茂>
フリーの編集・ライター。怪獣とマンガとSF好き。主な著書に『ウルトラ博物館』『ドラえもん深読みガイド』(小学館)、『藤子・F・不二雄キャラクターズ Fグッズ大行進!』(徳間書店)など。構成を担当した『てんとう虫コミックスアニメ版 映画ドラえもん 新・のび太の日本誕生』が発売中。4コマ雑誌を読みながら風呂につかるのが喜びのチャンピオン紳士(見習い)。

単行本情報

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