日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『メガロポリス・ノックダウン』
『メガロポリス・ノックダウン』 第1巻
田澤類 KADOKAWA ¥600+税
(2017年1月23日発売)
小学5年生の鋭美。
厳格な家庭に育ち、勉強はきちんとこなす優等生。
ある日彼女は、テレビの大人のための討論バラエティで出た、残酷描写のあるクライム・アクションゲームを見て、衝撃を受ける。
人が撃ち殺され、車が爆発し、犯罪の限りを尽くすゲーム画面。
一目ぼれだった。
彼女はためつづけたお年玉を使ってゲーム機を購入。部屋に隠し部屋を作り、ないしょでR18暴力ゲーム『メガロポリス・ノックダウン』のプレイを始める。
「子どもとゲーム」問題はメディアでしばしば話題に上がる。
子どもに悪影響、規制をするべき、ブロックしろ、と。
作中でも、ゲームが子どもに及ぼす影響、といって親たちが問題視するシーンがある。
答えのない感情論になってしまいかねない問題。
ウチの子が友人の影響でソシャゲで10万も課金したんだから全校でケイタイ禁止にしろとか、ならその子のケイタイをぶっ壊せばいいとか、行きすぎたいい争いになってしまいがち。
それを聞いてしまった鋭美、「(18禁)ゲームが見つかれば 絶対に転校させられる」と顔面蒼白だ。
オンラインのゲーム内では、大人たちのめちゃくちゃなプレイに絶望する。
「まさかこの世にあんなダメな大人がいるなんて……せっかくのゲームを現実のうっぷんを晴らす排泄場所としか思ってない」
鋭美はこの暴力的アクションゲームに強い敬意を抱いている。
「メガロポリス・ノックダウン」世界の住人になって、生き残るために強くなる遊びをしたいのだ。
後半になるにつれ、トリガーハッピーな彼女は正々堂々皆殺しする凄腕のアサルトライフル使いとして、急成長をとげる。
ただし、経験値を積めるのは、両親が帰ってくるまでの時間だけ。
「両親に隠れてゲームをするミッション」と「初心者の彼女が世界中の荒くれゲーマーと戦うミッション」、2つを鋭美はこなしていく。
というか「BANされないように運営に年齢を隠すミッション」もありますね……。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」