日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『幼女戦記』
『幼女戦記』 第3巻
カルロ・ゼン(作) 東條チカ(画) 篠月しのぶ(キャラクター原案) KADOKAWA ¥580+税
(2017年1月26日発売)
TVアニメも絶好調の『幼女戦記』、連続刊行であっというまに3巻目。
日本のすご腕サラリーマンが事故で死んだ後、異世界で女児に転生。
魔法の才能を持った少女ターニャ・デグレチャフとして、かつての知識・知恵を存分に活かしながら、戦場に立つ。
戦闘フェイズと会議兵站フェイズを交互に繰り返す。
第3巻はターニャが軍大学に入学し、戦争理論を議論する巻だ。
この世界は一般的戦術に魔法を組みこんだ(これも戦闘機だと思うと不思議ではない)、いうなれば第一次世界大戦前の状況に似ている。
だから「世界大戦」というのを、国民は知らない。
ターニャは歴史に長けているので、世界大戦・総力戦の仕組みを上官に語る。
みんな、考えられない規模の戦争理論に目を白黒させる。
ターニャの話はまるで見てきたかのようだ(実際もう現実の知識はあるし)。
ターニャの理屈はあまりにも完璧すぎる。
ゆえに、ターニャの願いどおりにことがまったく進まず、ひたすら墓穴を掘ってしまうことが本当に多すぎる。ターニャはそもそも、前線で戦うなんてまっぴらごめんなのだ。愛国心も何もないのだから。
それでいて出世欲が尋常じゃなく強い。ここはサラリーマン気質。
目指しているのは、後方エリート勤務。参謀的なポジション。
ところが冷静かつ迅速に戦闘設計を見通し、現地でも効率よく指揮をして戦える……となれば、そりゃあ「前線に出たいのかなこの子は?」思ってしまうのも当然。
下がろうとすればするほど、前に出される。
どうしてこうなった!? の繰り返し。
戦記ものなので、会話の内容はだいぶ複雑だ。
しかしマンガ版は、おおまかな要点をシンプルにまとめているので、ターニャの顔芸を楽しみながら読めば、概要はおおまかにつかめるはず。
アニメの進行具合がコミックスとだいたい同じ(1月29日現在)なので、見比べるとかなりわかりやすくなります。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」