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『歪のアマルガム』 第1巻 石山諒 【日刊マンガガイド】

2017/02/25


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『歪のアマルガム』


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『歪のアマルガム』 第1巻
石山諒 集英社 ¥400+税
(2017年2月3日発売)


「アマルガム」とは、「混じりもの」という意味。よくいえば両方の特徴を持つことができる。悪くいえば中途半端。
このマンガの主人公は、人間と妖のアマルガムだ。

電車にはねられた男子高校生、六道(ろくみち)。
目を覚ました時、彼の下半身と左腕は完全になくなっていた。
マッドサイエンティスト集団の「賽」。実験動物にされた六道に、木乃伊(みいら)から採取した「妖細胞(あやかしさいぼう)」が移植される。
本来であれば人体が耐えきれなくなって乗っ取られるか死ぬことが多いものの、六道は自我を保つことに成功。失った体を、再生し続ける骨で補うことのできる「がしゃ髑髏(どくろ)」の力を手に入れてしまう。
同時に、彼が大切にしていた日常は、全部失われた。

異形の者の力と哀しみを描いた、アクションホラー。
いうなれば「仮面ライダー」が人造人間に無理やり改造されたような状態。

問題は、彼の姿は骨まみれなので、表を堂々と歩けないこと。
せっかく幼なじみの少女との仲を一歩踏み出せるという矢先だったのに、これからしばらくは、あるいは永遠に、会うことはできなくなってしまった。

人間でありたいと願う六道は、わずかな可能性を信じて、「賽」を追う警視庁の「零課」に参加する。
彼の自由に骨を操る力は、人を簡単に殺すことのできる能力だ。開き直ってがしゃ髑髏ハーフとして生きていけば、だいぶ楽だろう。けれども絶対、彼は人が死ぬのをよしとしない。自分が窮地に追いつめられても、何が何でも人を救おうとする。

闇のなかをこそこそ駆け回る、妖怪でもヒーローでもない、歪な「アマルガム」。
骨を使ったアクションは、ゴリ押ししない知能戦。
次々出てくる妖細胞の被害者の能力もユニーク。表に出せない奴らの戦いが始まる。



<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」

単行本情報

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