母の一喝で一念発起!
漫画家デビューへの道のり
――先生は子どもの頃からどんなマンガを読んできたのでしょうか。
やまもり 小学校の頃は『ボンボン坂高校演劇部』が大好きでしたね。とにかく絵が好きでずっと真似して描いていました。それから母親の影響で吉田まゆみ先生のマンガも読んでいました。もちろん内容はまだ理解してませんでしたが、人物を見ているだけでとても楽しくて。
あとは『王家の紋章』だとか『悪魔の花嫁』も読んでいましたね。中学校に上がると『ふしぎ遊戯』や『Oh!myダーリン』。あと『花ざかりの君たちへ』『花より男子』など、いろいろなマンガを読んでいました。
――出版社もジャンルもかなり幅広いですね。
やまもり なかでも特にハマっていたのが、いくえみ綾先生と惣領冬実先生ですね。いくえみ先生は心情がすごくリアルで……今でも一番尊敬している先生です。惣領冬実先生は『MARS』が特に好きで、キラと零のあの刹那的な恋に本当に憧れました!
高校になるとマンガはいったん読まなくなるんですが。成人してから投稿のために買った「別マ」でアルコ先生と羽柴麻央先生の作品にどハマりしました。お2人とも柔らかい絵なのにグサグサ刺さるというか……!
――中学、高校生時代はどんな女の子だったのでしょうか。
やまもり 本当にダメ人間でしたね。仮病使って学校サボろうとしたり、先生が目を離したすきに脱走したり、家出したり、1日1回は親に殴られてました(笑)。
当時は、絵を描くことと映画にハマっていた気がします。「ROADSHOW」とか「SCREEN」(いずれも映画雑誌)を買って俳優さんを模写したり。それ以外はまったく興味がなくて、本当にずーっと寝てましたね。今もほっとくと2日は余裕で寝てます。
――マンガを描き始めたのはその頃ですか?
やまもり 最初にマンガを描き上げたのは、中学校3年生の頃ですね。結局投稿はしませんでしたが、猫目の内気な女の子が主役で、とにかくいくえみ先生の影響をモロに受けたマンガだった気がします(笑)。
――高校でいったんマンガを読まなくなったとおっしゃいましたが、描くほうもお休み?
やまもり はい。中3で一作描いて以来、まったく描いてなかったんですが、20歳すぎまでフラフラしてた私にある日母親が、「マンガを描かないなら一生うちの店で皿洗いしなさい! 今のお前にはそれしか能力がないんだから!」っていったんです。
それが本当に悔しくて、「見返してやる!」って無我夢中で描き上げたマンガがデビューに繋がりました。こうやって見ると本当ダメ人間ですね(笑)。
――いや、まぁカツを入れてくれたお母さまには感謝ですね。影響を受けたと思う漫画家さんは?
やまもり やっぱり、いくえみ先生には一番影響を受けていますね、コマ割り、モノローグの配置の仕方、トーンワークなど……あとは惣領冬実先生とか、谷川史子先生にもたくさん影響を受けています。
――マンガ作品のなかで憧れたヒロインなどはいますか?
やまもり 椎名あゆみ先生の『無敵のヴィーナス』の楓ですね。ボーイッシュで強いところに憧れました。
――男性キャラはどうでしょう?
やまもり 『スラムダンク』のゴリが好きです。
――ええっ!? 意外ですが……先生は渋い男性が好みなのでしょうか。
やまもり 仕草でいうと、男性がくわえ煙草しながら話す姿とかが好きですね。少し煙たそうにしてたり、あとは無言で作業してる姿とか。年上好きかよく聞かれるんですが、基本、寡黙で包容力のあるリーダータイプが好きなので、どうしても年上かおじさんになってしまうんですよ(笑)。
――なるほど、それを少女マンガ変換すると暁みたいな感じになるんですね。漫画家になって一番うれしいと感じたのはどんな時ですか?
やまもり 憧れの先生に認識されていた時ですね。夢かと思いました。
――『シュガーズ』『ひるなかの流星』『椿町ロンリープラネット』とヒット作を連発、デビューしてから成長したと思うのはどんなところでしょうか。
やまもり 成長した部分は、髪の描き方ですかね。最初は本当に髪を描くのが苦手だったんですが、今は少し慣れました。
――そうだったんですか!? 女の子キャラにしても男性キャラにしても、髪の質感や動きをかなり描きこまれていて……。考えてみると、マンガで髪の表現って相当大きいですよね。マンガならではというか。
やまもり 変わらないのは、締め切りギリギリなところです。もっといろんな種類のマンガを描けるようになりたいですね、話も絵も。
――今後はどんな作品を描いていきたいですか? いつか挑戦してみたいタイプの作品などはありますか?
やまもり うーん、時代もの、ファンタジー、BL、GLなどですかね。描ける力があるかはわかりませんが、一度はチャレンジしてみたいと思っています。
――それは楽しみにしています! ちなみに、現在注目しているマンガ、愛読しているマンガはありますか?
やまもり 『ダンジョン飯』『マリーマリーマリー』『とんがり帽子のアトリエ』です。
――やっぱり……今も幅広く読まれてるんですね。では、最後に読者の方へのメッセージをお願いします。
やまもり 疲れた時、嫌なことがあった時、悲しい時、そういった日常を少しの間忘れて楽しんでもらえるようなマンガが描けたらなと思っております。これからもみなさまに読んでいただけるよう努力していく所存ですので、よろしくお願いいたします。
――やまもり三香先生、ありがとうございました!
取材・構成:粟生こずえ
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