ありえないものが自分の家に来た時の人間の反応をしっかりと描く
――物語は最新3巻に入ってますます広がりを見せていますが、最初から決まっている大きな枠があるのでしょうか?
堀尾 ほぼ、ないです。毎回の打ちあわせのなかで決めていく感じです。
――ここまで生みの苦しみもありましたか?
堀尾 そうでもないかな。いま中盤にさしかかったところなんですけど、ここからのほうがたいへんだと思います。『刻刻』も半分くらいまではかなり調子よかったんでけど、後半になるにつれてたいへんでした。
――自分でも予想外の方向に進んでしまっている部分もあります?
堀尾 最初はもっと小規模ななかで進んでいくイメージだったので、ネットで拡散されたり 警察が出てきたりっていうところまでは考えていなかった。こういうところから徐々に難しくなっていくんですよね。
――作画に関してもお聞きしたいのですが、映像的なコマ運びが、ますます研ぎ澄まされていますね。
堀尾 映像的な部分を追い求めるところはあります。ただ、映画から云々というわけではなく、手法的には過去のマンガ作品からだと思います。僕が重視しているのはコマとコマのつなぎをスムーズにすることですね。
――動画的に流れるような表現がなされている1巻(第2話)の自転車のシーンには唸らされました。
担当 あれは『E.T.』ですよね。空は飛ばないけど(笑)。あと堀尾先生、『河童のクゥと夏休み』がおもしろいっていっていましたよね。
堀尾 水辺で何か拾ってそれが生き返るっていうのは、まんま『河童のクゥと夏休み』ですね。
――作品の背骨となっているテーマをあげるとすれば、何になりますか?
堀尾 “生き物の宿命”です。「貪欲なフクノカミをなんとかしなきゃ!」といっている主人公の琉花だって、日々、命を食べて生きているわけですからね。
――じっくりとお話を聞いて、色々と見えてきました。居候モノから始まったアイデアに、福の神、商店街、広島の島々といったピースが加えられ、堀尾先生自身にもまだ見えていない結末に向かって話が進んでいる。読者としてはワクワクしかありません。
堀尾 ありがとうございます。ありえないものが自分の家にきた時の人間の反応というものを無視せずに、しっかり描いているつもりなので、「自分だったら、どうするだろう」というふうに想いながら読んでいただければ幸いです。
――ありがとうございました。
取材・構成:奈良崎コロスケ
<インタビュー第1弾も要チェック!>
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