描くことを通して未知のものに触れ、発見するのが楽しい!
――本作は、動物の生態そのものがカギでありつつ、“人間くさい”葛藤が描かれているマッチングが、斬新なのだと思います。なかでも、性愛と食欲を絡ませたところは衝撃的でした。
板垣 そこは自然に思いついていたことで……『BEAST COMPLEX』にもオオカミとラクダの話があります。特別な感情が芽生えて「女性が男性を食べるシーン」を描きたいと思っていたんです。
――レゴシとハルがラブホテルに行くところは、大きな山場でしたね。
板垣 あの回は、とても描いてみたかったシーンです。2人がそういう状況になったらどうなるのかと……。描くことを通して、未知のものに触れるのは楽しいです。
――2人がどうなるか、ネームを描き始めるまで決めていなかったんですか?
板垣 はい。描いてみないとわからないということは、けっこうありますね。キャラが、自分が想定してたプロットとは違う動きをしていくということは、最近より増えてきました。その分ネームにすごく時間がかかるんですけど、前よりそれが不安じゃなくなってきました。少しは、それでもなんとかできるという自信がついたのかもしれません。
――読者さんからの声で印象に残っていることはありますか?
板垣 レゴムのたまごサンドの回(第3巻収録・第20話)や、SNSの回(第8巻収録・第70話)を好きだといってくださる方が意外に多いことです。
――たまごサンドの回、インパクトありましたよね。隣の席の女子(※メンドリ)が産んだ卵のたまごサンドを食べてるって、なんだか衝撃的で。SNSの話は、まさに旬の話題というか!
板垣 あれは……仕事場でいつも私が「インスタ映え」を罵倒してるのを、仕事場のみんなが「うっとうしいな」と思ってるのを感じはじめたので、ここはマンガに描いてサッパリしないとダメだなと(笑)。ちょうどこれを描いてる頃、テレビでも、なにかにつけては「インスタ映え」って連呼していて。周りの目を意識して自分の生活にきれいなフィルターをかけて投稿するっていうのは、私には理解できない価値観ですが、ある真理なんだろうなと思って。本当はもっと毒づきたかったのですが、ピーチちゃんとシイラが案外あっさり仲よくなっちゃって。
――勝手に仲よくなっちゃった?
板垣 思ったよりシイラがいい子だったり、ピーチちゃんもかわいい面があったりで……キャラが動いてしまったら自分も干渉できないし……。