影響を受けた作家

──さきほど「庵野秀明監督の影響」という話が出ましたけど、漫画家として影響を受けた作家は？

石黒　一番は『AKIRA』（大友克洋）ですね。極力似ないようにがんばってます。影響を受けた作家としては大友克洋、藤子不二雄、小原愼司、相原コージ、荒木飛呂彦の５人はどうしても入ってきますね。

──最初の３人（大友、藤子、小原）はほかのインタビューでもよくあげてますね。

石黒　そう。その３人ばかり取りあげられるから、最近は５人あげるようにしています。

──荒木先生は『ジョジョの奇妙な冒険』ですか？

石黒　俺、少年マンガを読む文化がなかったんですけど、たまたま「週刊少年ジャンプ｣を読んだ時に、億泰がバッドカンパニーの攻撃を受けて、顔が穴だらけになる回（第四部）だったんですよ。「なんて気持ちの悪いマンガなんだ！」「こういうマンガは一生読まないだろうな」と思ったんですけど、でも高校生の時にどハマリしたんです。

──何がきっかけだったんですか？

石黒　岸辺露伴が出てくる巻を読んで、それがムチャクチャおもしろかった。うちの高校、男子がとってもバカで『ジョジョ』ごっことかやってたんですよ。教室の黒板に「ズキュウウウウン」とか書いたり……。高校生にもなって（笑）。俺もそこに早く混じりたくて、学校帰りにコツコツと１巻から買ってました。最初は抵抗があったのに、まさか作風にまで影響するようになるとは。

──相原コージ先生は？

石黒　相原コージさんは、基本的にはギャグマンガ家なんですけど、ストーリーマンガを描く時に、ものすごく無慈悲なんですよ。キャラクターに対する愛よりも、ストーリー優先で、すごい残酷なことがあっさり起きるんです。

──『ムジナ』とか、すごいですよね。

石黒　そういうところが好きですね。『天国大魔境』で旅館の女将が殺されるところ（148ページ）は、相原コージさんの影響かもしれない。

一瞬にして頭を真っ二つに切断されるシーン。突然の描写に驚いた読者も多かったのでは。

気になる今後の注目ポイントは？

──では、気になる今後の展開ですが、読者にはどこに注目してもらいたいですか？

石黒　「このマンガがすごい！」のオトコ編で１位になったということでこの作品を手に取ってくれた方は、現段階で読めるのは1巻だけなんですよね。スマホのアプリ「コミックDAYS」で「アフタヌーン」のバックナンバーは読めるけど、コミックス２巻の発売はもう少し先になります。だから、さっきも言ったけど、俺個人としては「まだすごくないから！」という思いがあるので、ぜひ１巻で読むのをやめないで、２巻も読んでほしいです。

──先生、１巻でもじゅうぶんに「すごい！」ですよ。読者はみんな期待してますよ。

石黒　本当にプレッシャーだからやめて（笑）。

取材・構成・執筆：加山竜司

インタビューディレクターズカット版はここまで！　もっと本作について濃密にた～っぷりと語っていただいたインタビュー本文は、『このマンガがすごい！2019』に掲載されています！
ここまでインタビューを読んでくださった皆様、先生の描き下ろしイラストとあわせて必読ですよ!!

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