吹部の残酷さ、そして思春期の女の子たちのリアル
――実際、はみさんも吹奏楽経験者ということですが、はみさん自身の考える原作小説『響け!ユーフォニアム』の魅力はどんな部分でしょうか。
はみ 吹奏楽部って独特の閉じてる感じというか、やっぱり女の子が多くて、ちょっと残酷なキリキリするようなところがあるんです。たとえば葵ちゃんが部活をやめてしまうシーン、どうしたらよかったんだろうって。吹奏楽部ってどこでもそれなりに人間関係がややこしいっていうか、その感じがすごくリアルだなって。
――原作小説のファンの方たちや、TVアニメをみた現役の吹部員からは、吹奏楽部あるあるが随所に散りばめられているって声が非常に大きいのですが、はみさん自身の経験と重なるような場面はありますか。
はみ コミック版ではこれから描くことになるのですが、今の2年生に吹部を辞めちゃった子がいっぱいいるって、エピソード。わたしもある日部活に行ったら40人くらいいた部員が10人になっていたことがあって。
――ええっ! いったいどういった理由で。
はみ わたしの通ってた学校は、すごい弱小校だったんですよ。それでももっとバイトしたいとか、部活だけやってられないとか。そんな感じでみんないなくなりましたね。
――10人だと吹奏楽部として機能するかも怪しくなってくるレベルですよね。
はみ どうしようって(笑)。ちょうど夏のコンクールが終わったタイミングの三年生の引退に合わせて。
――それははみさん何年生のときだったんですか。
はみ わたしは2年でした。残ったのは1年生が5人に、2年生5人。
――部活はその後どうなったんですか。
はみ せっかく10人になったんだったら、10人でしかできないことをやろっかって顧問の先生が言ってくれて。冬ってアンサンブルコンクールがあるんですよ。なのでアンサンブルコンクールの練習したりとか、あとは春になって新1年生が入ってきたあとで、それまでなかった定期演奏会を開いてみたり。10人になったからこそいろいろ踏みきれたかなって。それはすごく思い出には残ってますね。
――じゃあまさに北宇治吹部の状況は自分に重なるっていると。
はみ わかるなーって、部分は多いですね。
――吹部特有の閉じた感じ、残酷な感じあるなかでも北宇治吹部の先輩たちはいい人たちがいて、見えている部分では円満に回っているかと思うのですが、こんな先輩がいたらよかったと思うキャラとかいますか。
はみ そうですね。香織先輩いてくれたら。優子のような狂信者っぽい後輩がいるのもわかります!
――はみさんはこれまで、百合作品も描かれてきたわけですが、『響け!ユーフォニアム』には百合っぽさを感じたりしますか? TVアニメ第8話は、各所で「キマシタワー!」だったわけですが。
はみ あーありますね。原作読んでいても「これは百合でいくのかな?」って、どう捉えたらいいのかって思うところもあったので。百合っていうか思春期独特の女の子同士のなんとも言えない雰囲気っていうのをすごく感じますね。
――たしかに思春期の女の子どうしの友情というのは、独特のものがありますよね。
はみ 女の子の友情ってその時、その時で切れてしまうことも多くって。だからこそその一瞬一瞬が深かったりすることがあるのかと思うのですが。一過性のものだからこそ深くつながりたいというか。
――そうした部分は、コミック版を読んでいても非常に伝わってきますね。
次回、はみ先生が、いかにして漫画家を志したのか? そしてアニオタを自称するはみ先生からみたTVアニメ『響け!ユーフォニアム』についてお話をうかがった!
【重版御礼!!】『響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部へようこそ』 はみ先生インタビュー 漫画家になりたかったけど、将来の夢・バレーボール選手って答えてた[2/2]