作品に求めるものはエンタメ性、カリスマ性……
そして“生と死”というテーマ
――本格的な画材でマンガを描き出したのはいつですか?
菅野 ペンを使って描き始めたのは中学の頃。オリジナルのマンガをきちんとしたページ数で完成させたのは19歳くらいの時です。そして2作目を「花とゆめ」に持ちこみ、賞に入ってデビューしました。
――2作目でデビューとは早い! 漫画家になって一番うれしいと感じるのはどんな時でしょうか。
菅野 読者さんから「おもしろかった」と感想をいただいた時です。それに尽きます。とくに最近は、いかに楽しんでもらえるか、そして楽しんで描けるか、ということを追求しながら描いています。
――知識欲旺盛で、そうとう広範囲にアンテナを張っている印象ですが、文学、映画、音楽などのジャンルでのお気に入りは?
菅野 映画は本当に好きなものがたくさんあって、ちょっと絞れないですね。最近は海外ドラマもよく見ています。文学は三島由紀夫が断トツで好きです。音楽もジャンル問わずなんでも聴きますが……とくにエレカシ[注5]、BUCK-TICK[注6]、マーズ・ヴォルタ[注7]関係はずっと追い続けています。好みのうえで共通するのは、エンタメ性、カリスマ性、“生と死”というテーマを感じるところでしょうか。
――いろいろなジャンルから吸収した美学が、今の菅野先生の血肉になっているんですね。現在、愛読しているマンガは?
菅野 『あずみ』(小山ゆう)です。前から好きでしたが、あらためてハマッています。私のなかで今目指しているものが詰まっているので。
――『薔薇王の葬列』が『このマンガがすごい!2015』オンナ編17位にランクインしたことについてどうお感じになりましたか?
菅野 うれしかったです。これをきっかけに読んでくださる方が増えたらとてもありがたいです。
――では最後に、読者の方へのメッセージをお願いします。
菅野 読んでくださって本当にありがとうございます。『薔薇王』はおそらく今後の展開にかなりすさまじい部分があると思いますが、楽しんでいただけら幸いです!
- 注5 エレカシ 4人組ロックバンドで正式名称は「エレファントカシマシ」。1981年結成。男臭い無骨なロックが特徴。
- 注6 BUCK-TICK 伝説的なロックバンド。1984年に前身となるバンド「非難GO-GO」を結成、1985年に現メンバーになって以降はメンバーチェンジしていない。ドラムのヤガミトール(愛称「アニィ」)の髪を逆立てたインパクト大のヘアスタイルは有名。
- 注7 マーズ・ヴォルタ アメリカのロックバンド。
取材・構成:粟生こずえ