『箱庭の巨獣』は大怪獣バトル!?
田中 全ページにみっちりと異形の生きものを描きたいという欲望は、『箱庭の巨獣』ではけっこう満たされました。
――画面狭しと巨獣が暴れ回る作品ですね。
田中 これを描くときにやりたかったのが、怪獣ものなんです。
――あら。怪獣ものはお好きですか?
田中 それなりに楽しんでます。このあいだのハリウッド版の『ゴジラ』[注1]とか、もう大興奮でした。
――巨獣同士の戦いは、大怪獣バトルなんですね。
田中 怪獣マンガをやろうと思ったときに、じゃあどうやろうかな、というときに、巨獣のアイデアがものすごくスポッとハマったんです。
――巨獣の巣で人間が守られている、という世界観なんですよね?
田中 そうです、そうです。
――なんでこんなこと思いつくんだろう、と(笑)
田中 (笑)。やっぱり、見たことがない世界を見たい、という思いがあるんです。だから怪獣ものが魅力的なんですよね。
――なるほど。そういうものを見せたい、という気持ちもあるわけですね?
田中 あっ、そうですね。それはあります。
――麒麟タイプの巨獣、なかなかキュートですよね。
田中 そうでしょう?
――あのー、人間の皮膚でいったらたるんでいるような感じ……って伝わります?
田中 ああ、はい(笑)
――ああいうの、わりとお好きなんでしょうか?
田中 ぶよっとした感じですよね(笑)。曲線で描いて、触ると柔らかそうな感じが表現できると、うれしいです。
――固そうなのに弾力がありそうな感じですよね。
田中 そういう質感は、かなり意識して出そうとしました。
――4作品ともそれぞれオリジナリティあるんですが、夫婦とか恋仲とか、コミュニケーション、もしくはその齟齬が主題なのかな、って感じました。
田中 テーマ的なものはそれぞれ立てています。それがないとしょうがないというか、軸になるドラマが考えられないですからね。
- 注1 ハリウッド版の『ゴジラ』 2014年に公開されたハリウッド映画『GODZILLA ゴジラ』(監督:ギャレス・エドワード)のこと。1998年公開のローランド・エメリッヒ版のことではない。