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田中雄一『田中雄一作品集 まちあわせ』インタビュー 映画を撮るつもりでマンガが生み出される

2015/08/10


『箱庭の巨獣』は大怪獣バトル!?

田中 全ページにみっちりと異形の生きものを描きたいという欲望は、『箱庭の巨獣』ではけっこう満たされました。

――画面狭しと巨獣が暴れ回る作品ですね。

100メートル近くあるであろう巨獣同士の戦いは圧巻! ぜひ単行本でこの興奮を味わってほしい。

100メートル近くあるであろう巨獣同士の戦いは圧巻! ぜひ単行本でこの興奮を味わってほしい。


田中 これを描くときにやりたかったのが、怪獣ものなんです。

――あら。怪獣ものはお好きですか?

田中 それなりに楽しんでます。このあいだのハリウッド版の『ゴジラ』[注1]とか、もう大興奮でした。

――巨獣同士の戦いは、大怪獣バトルなんですね。

クリーチャーは田中先生の作品の魅力のひとつ。巨獣のデザインもネームから原稿で大きく変わることも。

クリーチャーは田中先生の作品の魅力のひとつ。巨獣のデザインもネームから原稿で大きく変わることも。


田中 怪獣マンガをやろうと思ったときに、じゃあどうやろうかな、というときに、巨獣のアイデアがものすごくスポッとハマったんです。

――巨獣の巣で人間が守られている、という世界観なんですよね?

田中 そうです、そうです。

――なんでこんなこと思いつくんだろう、と(笑)

田中 (笑)。やっぱり、見たことがない世界を見たい、という思いがあるんです。だから怪獣ものが魅力的なんですよね。

――なるほど。そういうものを見せたい、という気持ちもあるわけですね?

田中 あっ、そうですね。それはあります。

――麒麟タイプの巨獣、なかなかキュートですよね。

街の人々を穏やかに見守る巨獣。恐ろしい化けもののはずなのに、なぜか愛嬌を感じてしまう。

街の人々を穏やかに見守る巨獣。恐ろしい化けもののはずなのに、なぜか愛嬌を感じてしまう。


田中 そうでしょう?

――あのー、人間の皮膚でいったらたるんでいるような感じ……って伝わります?

田中 ああ、はい(笑)

――ああいうの、わりとお好きなんでしょうか?

田中 ぶよっとした感じですよね(笑)。曲線で描いて、触ると柔らかそうな感じが表現できると、うれしいです。

――固そうなのに弾力がありそうな感じですよね。

田中 そういう質感は、かなり意識して出そうとしました。

――4作品ともそれぞれオリジナリティあるんですが、夫婦とか恋仲とか、コミュニケーション、もしくはその齟齬が主題なのかな、って感じました。

田中 テーマ的なものはそれぞれ立てています。それがないとしょうがないというか、軸になるドラマが考えられないですからね。


  • 注1 ハリウッド版の『ゴジラ』 2014年に公開されたハリウッド映画『GODZILLA ゴジラ』(監督:ギャレス・エドワード)のこと。1998年公開のローランド・エメリッヒ版のことではない。

単行本情報

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