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田中雄一『田中雄一作品集 まちあわせ』インタビュー 映画を撮るつもりでマンガが生み出される

2015/08/10


異色作家の作家的ルーツ

――小さい頃はどんなマンガを読んでいました?

田中 手塚治虫の『火の鳥』です。スケールの大きさとか、読んでいるとどんどんとんでもない世界に連れていかれてしまうような感覚とか。10代の頃にああいう読書体験をできたのはすごいな、と思います。

――何編がお好きですか?

田中 我王が出てくるのはなんでしたっけ?

――「鳳凰編」ですね。

ご存じ手塚治虫の『火の鳥』。多くのエピソードを有する『火の鳥』のなかでも「鳳凰編」はファンが多い。

ご存じ手塚治虫の『火の鳥』。多くのエピソードを有する『火の鳥』のなかでも「鳳凰編」はファンが多い。


田中 あと未来のシェルターのやつ。人類滅亡後にナメクジが文明を持って、そこで神様になってしまう話。

――「未来編」ですね。

田中 「鳳凰編」と「未来編」が特に好きです。

――やっぱりSFがお好きなんですね。

田中 今にして思えば、ですけどね。SFを意識してみるようになったのは、大学を卒業してからじゃないかと思います。

――では四季賞を取ってから。映画では何が好きですか?

田中 2本、ものすごく大好きな映画があって、『エイリアン』[注3]と『ターミネーター』[注4]なんですけど……。すいません、なんかミーハーで。

――いやいや、どちらもすごくおもしろい映画じゃないですか。『エイリアン』はやっぱりあの造形が?

田中 大好きです。

担当 いかにも好きそうだよね(笑)

――ちなみにジブリ作品って、見ます?

田中 あ、好きですよ。

――『風の谷のナウシカ』[注5]に出てくる蟲とか……。

映画版とマンガ版ではうける印象がまったく違う『風の谷のナウシカ』。映画版しか知らない方にはぜひマンガ版を読んでいただきたい。

映画版とマンガ版ではうける印象がまったく違う『風の谷のナウシカ』。映画版しか知らない方にはぜひマンガ版を読んでいただきたい。


田中 うん、ワクワクしますよね(笑)

――「まちあわせ」を読んだ時に、『On Your Mark』[注6]が好きなんじゃないかな、って感じたんですけど。

田中 ああいう世界観は大好きです。あの映像が見たくて映画館に行きましたから。

――『耳をすませば』じゃなくて『On Your Mark』がメインだったんですね(笑)

田中 はい(笑)。あれはドストライクです。

――さて、気になる次回作ですが。

田中 正直に言えば、今ちょっと迷走しています。

担当 アイデアに関しては、本当にほかの人からは出てこないようなものがあります。それこそ作家性というんでしょうか。短編に関しては、単行本を読んでいただければわかるとおり、物語を構成する力もあるので、そろそろ次の段階を……と考えていますが、あんまり気負ってほしくはないので。

――では首を長くしてお待ちしてます。これからのご活躍、期待しています!


  • 注3 『エイリアン』 宇宙船のなかでエイリアンに襲われる、1979年のアメリカ映画(監督:リドリー・スコット)。、鬼才H・R・ギーガーが手がけたエイリアンのデザインは、全世界に衝撃を与えた。
  • 注4 『ターミネーター』 人類と機械の戦争が行われている未来から現代(1984年)に送りこまれた殺人アンドロイドが、のちに人類抵抗軍のリーダーとなるジョン・コナーの母親を殺戮しようと企む1984年の映画(監督:ジェームズ・キャメロン)。主演はアーノルド・シュワルツェネガー。キャメロンにとってもシュワルツェネガーにとっても出世作となった。2015年にはリブート作『ターミネーター:新起動/ジェニシス』が公開された。
  • 注5 『風の谷のナウシカ』 1982年公開のアニメ映画(監督:宮崎駿)。「火の7日間」という最終戦争から1000年が経過し、激しく汚染された世界が舞台となる。生態系が変化し、巨大な異形の「蟲」が出現する。
  • 注6 『On Your Mark』 CHAGE and ASKAの曲「On Your Mark」のプロモーションフィルムとして作成された、スタジオジブリ制作のアニメ作品。1995年にアニメ映画『耳をすませば』の同時上映作品として劇場公開された。地上が放射能で汚染された近未来ディストピアを舞台に、主人公2人(CHAGE and ASKAがモデル)が翼の映えた少女を救おうと奮闘する物語。同一シーンをカットバックしながら何度も繰り返し、そのたびに失敗シークエンスがあったり成功シークエンスがあったり、どこまでが夢か現実かわかりにくく、絵柄や歌のさわやかさとは対照的に、非常に複雑で難解な筋立てになっている。わずか7分弱の作品ながら、非常に高い評価を得ている。

取材・構成:加山竜司
撮影:辺見真也

単行本情報

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