1話の中に必ず驚きがある。カタルシスを感じるような作品を描きたい
——デビュー作の『ファンタズム』はファンタジーで……以来、かなり幅広いジャンルの作品を描かれていると思います。ボーイズラブ、『恋煩いフリークス』のような変化球の恋愛もの、『終電にはかえします』のような百合ものまで。
雨隠 あまりジャンルは意識していなくて。人間関係や感情を描くのが好きなので、ジャンルは関係ないのかもしれませんね。自分の作品を振り返ってみると「ギャップ萌え」要素は強いのかなと思います。
——『終電にはかえします』タイトル作のヒロイン2人の組み合わせもすごく意外性がありますよね。お嬢様系のルックスの美少女が、見た目ヤンキー風(?)の男子っぽい後輩に惚れちゃうという……。
雨隠 これはスラスラっと楽しんで描けた作品です。こういう性格的なギャップ、見た目のギャップも好きですし、年齢的なギャップも好き。恋愛に関わらず、組み合わせの妙が好きなんですね。
——読み手として、感銘を受けたマンガにはどんなものがありますか?
雨隠 えーと、困りましたねぇ。いろんなものが好きすぎて……。弟がいたので「週刊少年ジャンプ」はもちろん「近代麻雀」「漫画ゴラク」も読んでました。それからホラー系も好きでした。
——かなり守備範囲が広いですね!
雨隠 自分もこういうものが描けたらいいなと最初に思ったのは……森博嗣さんの小説なんですが、犀川教授と萌絵ちゃんというキャラクターが出てくるシリーズ作品です。
雨隠 高校、短大時代にすごくハマりました。作品を通して、哲学が感じられるのが心地いいんです。マンガでいえば、TONO先生の『カルバニア物語』も大好きですね。あと、最近すごく注目しているのは庄司創先生です。デビュー作から大好きで。『三文未来の家庭訪問』も『勇者ヴォグ・ランバ』も……とにかくオススメです! 知的な部分が随所にチラッと出ているのが奥深い魅力だと思っています。新連載の『白馬のお嫁さん』にすごい注目しています!
——読んで楽しく、またどこか刺激されるところがあるのでしょうか。
雨隠 淡々とした話を読むのも好きなんですけど、ちゃんとカタルシスがあるものを見るとうれしくなるんです。直接それに影響受けるわけではないんですけど……「私もおもしろいマンガ描きたい!」という感情を起こさせるものに出会うとワクワクします。
——『甘々と稲妻』は、雨隠先生にとっても特別な作品ではないかと思います。これを描いたことで何か変化したことはありますか?
雨隠 この作品では日々たくさん取材が必要なので、新しい経験をいっぱいしていますね。食べ物にまつわる思い出を会う人会う人に聞いたり、高校の先生の仕事や生活ぶりを取材したり。小鳥のお母さんのお店も、モデルにさせていただいたお店があるんですよ。取材を通して、ふだんは家にこもって仕事している私自身、ちょっと外の世界に向いてる感覚があって……毎日楽しいです。
——では、最後に読者にメッセージをお願いします。
雨隠 『甘々と稲妻』は季節がめぐり、時間が進んでいく話なので……おいしいごはんとともに、つむぎ、先生、小鳥の成長や変化を楽しんでいただけたらいいなと思っています。これからもよろしくお願いします!
プレゼントのお知らせ
雨隠ギド先生の直筆サイン入り『甘々と稲妻』単行本第2巻を3名様にプレゼント!
下記の専用アンケートフォームから必要事項をご記入のうえ、ご応募ください。
雨隠ギド先生プレゼント応募フォーム
たくさんのご応募、お待ちしております!
プレゼント応募は締め切りました。たくさんのご応募、誠にありがとうございました!
取材・構成:粟生こずえ
撮影:辺見真也