柏木ハルコのルーツは『がきデカ』にあり!?
──ここまでの質問とは、少し毛色が変わるのですが、先生は、どんなマンガに影響を受けてきましたか?
柏木 圧倒的に、手塚作品ですね。あと私、子どもの頃、いとこが買ってた「週刊少年チャンピオン」を読んでいたんです。山上たつひこ先生の「がきデカ」とか、吾妻ひでお先生の「ふたりと5人」が連載されていた頃の「少年チャンピオン」です。特に「がきデカ」が大好きで。山上たつひこ先生の作品は、何かひかれるものがあったんですよね。
『がきデカ』 第1巻
山上たつひこ 秋田書店 ¥390+税
あとは80年代の「少年ジャンプ」から「モーニング」や「ビッグコミックスピリッツ」、「ヤングマガジン」など青年誌へと移行しました。
──以前、「なんでこんなに男子の心を知ってるんだ!?」っていうことから、「柏木ハルコ=男性」説が流れましたよね(笑)。そのルーツは少年誌にあるんですね。納得です!
柏木 そういえば昔、男性説ありましたねぇ(笑)。私はあんまりピンと来なかったんですけど。
──では、最後に『健康で文化的な最低限度の生活』について、お話できる範囲で今後の展開を教えていただけますか。
柏木 生活保護って、細かいテーマがたくさんあって、これから描いていきたい話はたくさんあります。たとえば、これまで就労支援編、不正受給編、扶養照会編と様々な事情を抱えた生活保護受給者を描いてきましたけど、最新刊である第4巻以降の話では、アルコール依存症の受給者が登場しますね。
あと、生活保護を描いていくうえで決めていることがあって。それは、“都合のよいミラクルを起こさない”ということです。取材を通じて見たものを、できるだけそのまま描こうと思っています。
ただ、これまでに登場した受給者たちのその後も追っていきたいという思いはあるんです。人の変化、状況の変化は少しずつなので。今すぐ解決しなくても、数年後、少しでも状況が改善されることを目指すのが生活保護なので。不正受給編に登場した欣也君とか。私自身も見守っていきたいなという感じですね。
──これからもご活躍、楽しみにしています。本日はどうもありがとうございました!
『健康で文化的な最低限度の生活』 第4巻
柏木ハルコ 小学館 ¥552+税
(2016年8月30日発売)
『健康で文化的な最低限度の生活』の最新単行本第4巻は、8月30日より好評発売中! 今回のインタビューを読んでから読めば、今まで以上に楽しめるはず。まだ買っていない人は、ぜひ!
取材・構成:片山幸子