人気漫画家のみなさんに“あの”マンガの製作秘話や、デビュー秘話などをインタビューする「このマンガがすごい!WEB」の大人気コーナー。
今回お話をうかがったのは、咲坂伊緒先生!
『ストロボ・エッジ』『アオハライド』など、高校生の青春ラブストーリーの名手が描く、ピュアな男女4人の恋物語『思い、思われ、ふり、ふられ』。
恋に夢みがちな由奈と、恋愛経験もあり、現実的な考えをする朱里のWヒロインの恋のゆくえにハラハラドキドキさせられる本作は、3月24日に最新第5巻が発売!
今回のインタビューは、最新5巻の見どころはもちろん、恋愛マンガを描くなかで感じた、最近の女子高生の恋愛とマンガの恋愛の違いなど、「別冊マーガレット」の人気作家・咲坂伊緒先生の内面に迫ります!
『思い、思われ、ふり、ふられ』インタビューは第1弾はコチラから!
キャラクターには「なんでモテるのか理由が欲しい」
――メインキャラ4人に対して、だれかに感情移入して描いていますか? それとも、物語を俯瞰して見る「神目線」?
咲坂 基本的には俯瞰です。自分のなかにある性格の要素がちょっとずつそれぞれのキャラクターには入っているので、みんな自分の分身ともいえますが、ひとりに自己投影することはないです。これまでの作品でも。マンガを読む立場の時もそうですね。
――え、そうなんですか? 少女マンガでは、わりと主人公に感情移入して読んでほしいという作家さんがいるので、それが王道なのかと思っていたんですが。。
咲坂 私もこの仕事を始めてから、主人公に自己投影して読む人がいるって知りました。いろいろあっておもしろいですよね。自己投影型で読む人は、たぶん主人公があまり辛い目にあいすぎるとダメみたいで。「この人たちの物語」を外から読む派は、試練を乗りこえてくれないとつまらないと思ったり……。するっとうまくいってももの足りない。その差はあるのではないでしょうか。
――自己投影型のいいところは、ヒロインがいろんな人にいい寄られた時にモテ気分を素直に味わえるところかなと。
咲坂 でも、外から見る派はつい「なんでモテるのか理由が欲しい」って思っちゃうんですよね。「こういうことがあって好きになった」というエピソードが描かれてると納得できるんですが(笑)。
これについても、どっちもアリだと思ってます。「物語を外から見る」というと冷たい感じかもしれませんが、私の場合は、そのヒロインの物語を「友だち目線で応援しながら読む」という感覚だと思います。
――あ、それです! なんだかホッとしました(笑)。
咲坂 辛いこと、悩みごとにぶつかって主人公をどん底まで落としたほうが、描いていておもしろいですけどね。落とせば上がれるし、解決する喜びもあるし。私自身、何もないよりは問題にぶち当たるほうが楽しいかな。起伏があるほうが。
高校生のもどかしい恋愛を
いつまでも描いていたい
――ずっと高校生の恋愛マンガを描き続けられるのはすごいと思うのですが、そのモチベーションはどこから?
咲坂 まず、高校生を描くのが好きなんですよ。自分の高校時代がすごく楽しかったせいもあります。高校生は、中学生よりは自由に動けるけど、大学生ほどにはいろんなことがわからなくて、不安でブレーキかけちゃったりもする。そのもどかしさがいいんです。
――高校生を描くことに違和感が生じたりすることはありますか?
咲坂 取材をしているわけでもないので、自分の記憶を頼りにするしかないんですけど。でも、読者のお手紙を読むと、恋の悩みは自分の学生時代と変わらないですね。
「好きな子に話しかけられないけど、どうすればいいの?」とか「6年間片想いしています」とか、そんな悩み相談も書いてあったりします。SNSや雑誌を見て、今の高校生の感じをできるだけ掴もうとしています。