第4位(108ポイント)
『ウムヴェルト 五十嵐大介作品集』 五十嵐大介
『ウムヴェルト 五十嵐大介作品集』
五十嵐大介 講談社
骨董品の買いつけに田舎のひとり暮らしの老婆ををおとずれた2人の若者は、老婆が身に着けた“鳥神ガルーダ”の衣裳で不思議な経験をする……。日常のなかで突然出会う超体験を描いた「ガルーダ」、オープンカヤックで気ままな冒険を続ける女性が沼で奇妙なものを目撃する「鰐」ほか、まさに“五十嵐大介イズム”が息づいた全10編の傑作短編集。
“生物の種によって、その感じる世界の認識が根本的に異なり、種特有の知覚世界を主体として生物は行動している”……という生物学の概念「環世界(ウムヴェルト)」というタイトルのとおり、独創性あふれる作者の世界観がいかんなく描かれた短編集。
表題作「ウムヴェルト」は、現在連載中の長編『ディザインズ』の原型となる物語で、著者が描く「神秘」の魅力がたくさん詰めこまれています!
オススメボイス!
■美しくて、おもしろくて、すばらしい短編集。細密に描きこまれた動植物や自然の風景から立ちのぼる生命感と神秘性がたまらない。「ガルーダ」、「鬼、来襲」は、ラストでハッとする驚きをもたらしてくれるし、「よかったね雨男」は、ペーソスとユーモアと救いのさじ加減が絶妙。そして、「マサヨシとバアちゃん」、「ウムヴェルト」は“環世界”という概念の不思議さ・興味深さをみごとな絵と物語で疑似体験させてくれる。大切にしたい一冊だ(稲垣高広/ブログ「藤子不二雄ファンはここにいる」管理人)
■絵もお話も緻密で、じっくり読まないと失礼になる作品(早川博志/「恭文堂」コミッククラフト店)
■五十嵐大介の緻密かつ繊細な筆致で描かれることにより、日常と異界の境界線がごちゃごちゃになる感覚を読者にも体験させてくれる。当たり前だが人間、そして多種では世界の見え方や感じ方が違う。忘れがちな事実ではあるが、五十嵐大介はそれを再確認させてくれる。種の数だけ世界は存在するのだ。あと女の子の絵がかわいくなってきた気がします(冬蜂/風俗情報サイト「フーゾクDX」制作部)
「日刊マンガガイド」でのご紹介は、コチラ!
第5位(92ポイント)
『実は私は』 増田英二
『実は私は』
増田英二 秋田書店
考えていることが顔に出てしまう体質の男子高校生・黒峰朝陽は、ミステリアスでクールな美人のクラスメイト・白神葉子に恋をする。しかしある日、朝陽は葉子の正体が、じつは吸血鬼であることを知ってしまい、その秘密を守るため彼女と友だちになるのだが、朝陽の毎日はその日から一転し……!?
「実は私は○○」と、宇宙人や未来人に狼男、はては悪魔まで、様々な人外キャラが朝陽の周囲に集まって巻き起こす非日常ドタバタラブコメがついに完結! 「これラブコメだっけ……?」と時々思ってしまうくらいハイテンションなギャグ展開とは裏腹に、きっちり泣かせてくるところに感服! 種族の垣根を越えて、恋に友情に奮闘してきた朝陽と葉子の2人の物語はもちろん、すべての伏線を回収して、サブキャラにまできちんと“オチ”をもうけたエンディングは必見です!
オススメボイス!
■ここまで来ると毎話がもう号泣に次ぐ号泣。特に卒業式における、茜先生の最後の送辞はマンガの歴史に残そう! これまで積み上げてきた人間関係のすべての総決算となっているグランドフィナーレ、増田英二先生にはただただ感謝しかない(かーず/「かーずSP」管理人)
■ついに完結。人外ラブコメとして楽しませてもらいました。すべてがまるく収まったという、じつに円満な完結編(東雲騎人/イラストレーター)
■各キャラクターの恋愛模様だったり、過去の因縁だったり、それまでの話のなかで描くべきものをすべて描ききったうえで綺麗にまとめたすばらしい最終巻でした(犬紳士/養蜂家)
■作中の懸念事項をすべて払拭し、第1話からもってきたテーマを貫き通した完璧な大団円。一見ハーレム的な配置ながら主人公がとにかく真摯で、女性キャラたちも芯が通っていました。ご都合キャラがひとりもいない、みんなまっすぐ生きている作品でした(ササナミ/ブログ「雑食商店街3373番地」管理人兼書店員)
「日刊マンガガイド」でのご紹介は、コチラ!
第6位(76ポイント)
『CITY』 あらゐけいいち
『CITY』
あらゐけいいち 講談社
とあるCITYに住む大学生・南雲は、無一文のところを大家に急襲されて、窓からアパートの部屋を逃げ出し、物語は始まる! 後輩・にーくらから借金をしようと彼女を追う南雲。交番に土偶の落とし物を届けにきた女の子。ハニワを店頭に飾る洋食屋でアルバイトを探す店主とその息子……。一見なんの関係もないCITYの人々が奇妙な縁でつながっていき……!?
『日常』に代表されるシュールな世界観で読者をとりこにしたあらゐけいいちの最新作。
連載時から話題となっていた本作ですが、キャラクターたちの「日常」が奇跡的につながっていき、その町全体の「日常」が紡がれていく……。独特なギャグセンスとテンポが魅力の著者ですが、今回の新作でもその「味」はふんだんに盛りこまれ、まさにあらゐけいいちワールド全開!! じつは奇跡の連続かもしれない、新たな人々と街の日常に目が離せません!
オススメボイス!
■あらゐけいいち先生ワールド健在(福丸泰幸/喜久屋書店漫画館京都店 店長)
■作者初の週刊連載。ある意味群衆オムニバスで、毎回のハイスピードなギャグとたたみかけ方が楽しい(soorce/オヤジ漫画系ブロガー)
■わいわいがやがや、いろいろ愉快な面々が暮らすCITYのおはなし。販促物のデザインも凝っていて店頭展開するのが楽しい作品でした(杉山陽一/「COMIC ZIN」秋葉原店 コミックバイヤー)