希望を見出しては、新たな問題、症状で心身がボロボロに。パニック障害、向精神薬の副作用、深夜徘徊、自殺未遂、精神病棟入院……。
繰り返される「生きていても意味がない」という壮絶な叫びが痛々しい。幾度となく地獄のような苦しみを味わいながらも、ギリギリの瀬戸際で「自分の生活を改善しよう」と前向きに立ち返る著者に、人間の底力のものすごさを見る想いだ。同じ悩みを抱える人々のみならず、すべての人の希望となる、そんな1冊だと思う。
著者は倒れても倒れても新たな突破口を探して進んでいくが、多くの人の言葉が助けになっているのも事実だ。本作にあとがきを寄せている「アート」の師匠であるボスヒコ氏を始め、史群はバイト先や病院で出会った人の言葉からたくさんのヒントを受けとっている。史群を思っての優しい言葉だけでなく、ふとした些細な言葉のなかからも。厳しい環境に置かれながら人間不信に陥ることなく、人の言葉に耳を傾ける姿勢にも見習うべきことが多いと感じている。
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
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