業界注目度No.1!?
「このマンガがすごい!WEB」が誇るランキング選者に協力いただくアンケート集計をもとに、決定される毎月恒例の「このマンガがすごい!」ランキング。今月のランキングは……。
今回の「オンナ編」第1位は、『縫い裁つ人』の池辺葵による家族をテーマにした連作短編集! かつては自分も子どもだった「母親」たちの姿と、母親とうまくいかない子どもたちの姿がやさしく描かれ、読者の心をがっつりつかみます。
このほかにも、『響け!ユーフォニアム』キャラクター原案でもおなじみのアサダニッキ先生が贈る、胸キュン必至な“ひとつ屋根の下”ラブコメや、「話さない」と決めた少女と彼女を捨てた父親の“期間限定家族”の生活を描いたセンセーショナルな話題作などがランクイン!
気になる今月のランキングを、さっそくチェックしましょう!!
(2017年6月1日~6月30日発売作品を集計)
第1位(158ポイント)
『ねぇ、ママ』 池辺葵
『ねぇ、ママ』
池辺葵 秋田書店
親に「捨てられた」子どもたちが暮らす修道院、就職して家を出る息子を送り出す母親、なかなか帰宅しない母親と暮らす少女……。『どぶがわ』『繕い裁つ人』の池辺葵が描く、家族をテーマにした連作短編7本(書き下ろし含む)。母になる人も、母にならない人にも、同じくらいきっと響く物語。
2016年にテレビドラマ化もされて話題になった『プリンセスメゾン』の最新刊もランクインしている著者ならではの、せつなさとユーモアの入り混じった感じが見事。重くなりがちなテーマを、やわらかく優しく描く。かわいいなあと思って眺めていると、ときどき胸にグッとくる場面もあったりして。
オススメボイス!
■池辺さんはテーマの探し方、切り取り方、描き方が本当にすばらしい。ちょうどTBSで『母になる』というドラマも放送されていたこともあって、タイムリーなテーマ。母は偉大である。親とうまくいってる人、うまくいっていない人、どちらにも刺さるであろう作品(穂高茉莉/楽器店店員)
■「母」をテーマにした連作集。年かさの女性を描かせてもうまい作家さんだが、子どもたちの描写がなんともかわいらしくてキュンとする(和智永妙/ライターたまに編集)
■昨今流行の母娘モノかと思ったら、いい意味で裏切られる。子どもにとっての「ママ」って現実の母親を越えた「神さま」みたいなものなんだなーと。安っぽい母性神話に揺さぶりをかけつつも大切な気持ちを思い出させてくれる一冊(井口啓子/文化系ライター)
■母をモチーフにした短編集。どの物語も味わい深くて、本当によい短編集を読んだなぁ、と。池辺葵の奥深さをまざまざと見せつけられたかのような感覚です(いづき/ブログ「おとよめ」管理人)
■池辺先生の食べものの描写もまたすばらしい。細かく描きこまれているわけでもないのに、何をつくっているのか、何を食べているのかがすぐにわかる不思議。そして登場する料理が物語のコアと密接に結びついている。表題作もまさにそんな作品(小田真琴/女子マンガ研究家)
第2位(106ポイント)
『恋とヒミツの学生寮』 アサダニッキ
『恋とヒミツの学生寮』
アサダニッキ 講談社
成績優秀な特進科(ハイクラ)と、青春エンジョイ志向の普通科(ボンクラ)に分かれてイガミあう高校に通う1年生の鈴森あさひ。明るいアホが取り柄のあさひはある日、ひょんなことからハイクラの中でも成績上位者専用の寮に転がりこむことに。そこで出会ったのは、何やら謎めいたハイクラ生、高木夜風。「恋をしたら即退寮!」という恋愛禁止の学生寮で、あさひと夜風の関係はどうなっていくのか……?
『星上くんはどうかしてる』の著者が描く学生寮ラブコメ。外見は王子様だけど、どう見ても怪しい生徒会長兼寮監の月ヶ瀬先輩や、あさひと同じボンクラ生でオネエ口調のしゅうちゃんなど、脇役たちの活躍も今後気になるところ。
オススメボイス!
■アサダさんの安定感とストーリーテリングの上手さ、キャラのチャーミングさはもっと評価されていいと思う。主人公はいつものようにちょっと抜けているが素直な女の子です。月ヶ瀬先輩、夜風の三角関係に、イケメンオネェはどう絡んでくるのか楽しみ(笑)(冬蜂/風俗情報サイト「フーゾクDX」制作部)
■とある事情で、本来なら絶対に関わることができない特進科(ハイクラ)の学生寮に住むことになった普通科(ボンクラ)のあさひ。ボンクラであることは「絶対ヒミツ!」なのにハイクラの夜風くんに正体がばれてしまい……という、ある意味とっても王道なラブコメディです。夜風にも事情があるらしく、2人で互いに秘密を守りあいながらだんだん距離を縮めていく様子に「恋とヒミツってなんでこんなに相性がいいんだ!!」と興奮しながら読んでいました(笑)。とてもかわいいのに気軽に読めて、さすがアサダニッキさん。いつもステキです(りる/感想系ブログ『空夢ノート+』管理人)
■ちょっとありえないシチュエーションで個性的なキャラを自由に動かす、楽しくドキドキ感あふれる良ラブコメ(いづき/ブログ「おとよめ」管理人)
第3位(94ポイント)
『真昼のポルボロン』 糸井のぞ
『真昼のポルボロン』
糸井のぞ 講談社
女にはモテるけれど長続きしない岩下縞(いわした・しま)38歳は、大学の講師をしながら小説も書いている。彼には、かつて別れた女性のもとに残した娘がいた。その娘「るつぼ」は、早くに母親を亡くし、伯母のもとで育てられた。母親のお腹のなかにいる頃からまわりの声や音を聞いていて、産まれた頃のことも覚えている。自分の意志で「話さない」ことを決めていて、ほぼ完全に無言。自分を捨てた縞を始め、大人を嫌っているのだ。
縞の家に居候している19歳のショージ(東海林正治)や、縞の幼なじみの姫子といった濃い脇役も生き生きとしていて、これからの展開が楽しみ。なお「ポルボロン」というのはスペインのお菓子で、口に入れるとホロっと溶ける食感が特徴。
そんなポルボロンのように甘いけれど少しもろさも感じる2人の生活に注目だ。
オススメボイス!
■9年間、いっしょに暮らせなかった父娘の突然の期間限定同居生活。お父さんかわいいし娘もかわいい。お父さんは娘が生まれた時、もっとがんばってればよかったのにとか、父親が許せないでいる、大人の都合に振りまわされてきて大人嫌いのしゃべらない娘さんが、けなげでいじらしくてかわいいとか。作品全体の雰囲気がやわらかくて優しくてとてもすてきです(アキミ/「ボーイズラブを読む!」管理人)
■父を拒絶する娘と、どこまでも人たらしな父との、親子やり直しの物語。なんとなくクセのある内容ながら、読み終わってみれば温かくほっこりとした気持ちに(いづき/ブログ「おとよめ」管理人)