話題の“あの”マンガの魅力を、作中カットとともにたっぷり紹介するロングレビュー。ときには漫画家ご本人からのコメントも!
今回紹介するのは『月曜日の友達』
『月曜日の友達』著者の阿部共実先生から、コメントをいただきました!
『月曜日の友達』 第1巻
阿部共実 小学館 ¥552+税
(2017年8月30日発売)
これってとってもすごいんじゃないか。私は今、すごいものを目にしているような気がする……。読みながら、なんだかどきどきしてしまうマンガだ。
『ちーちゃんはちょっと足りない』(『このマンガがすごい2015』オンナ編 第1位)や『空が灰色だから』で思春期の多感な少年少女の心情をすくってきた阿部共実の、久しぶりの長編作で、舞台は中学校。中学に進級しても子どもっぽさがぬけず、クラスメートとうまくなじめない水谷茜が、同じく友だちがおらず浮いている月野透と、深夜の学校で出会う。2人は毎週、月曜日に会う約束をして――。
さっとあらすじを書くだけでは、「周囲になじめない少女と少年が出会い、秘密を共有して、仲よくなってゆく」というわりと王道の、ありふれた話に思える。けれど、読んでみると、今まで目にしたことがないような、唯一無二って感じのマンガになっているので、どきどきしてしまうのだ。これはいったいぜんたい、どういうことなんだろう……。
繊細で詩的な水谷は、こんな中学1年生いないだろって語彙の豊富さで、自分の見ている風景や感情を表現する。自分を客観視もするし、月野の優しさや気配りに気づくこともできる。周囲となじめず、自分は子どもっぽいと悩んでいるけれど、その点ではかなり大人だ。けれど一方で、将来の夢が空を飛ぶことだったり、恋愛よりひたすら球を打ちまくる野球に興味があったり。そのアンバランスさも、とても魅力的だ。