このマンガがすごい!WEB

一覧へ戻る

【ロングレビュー】『月曜日の友達』(阿部共実)「生まれてはじめて、友達ができたよ」 子どもから大人になりきれない2人の、まぶしくて、美しすぎる青春譚

2017/10/10


話題の“あの”マンガの魅力を、作中カットとともにたっぷり紹介するロングレビュー。ときには漫画家ご本人からのコメントも!

今回紹介するのは『月曜日の友達』

『月曜日の友達』著者の阿部共実先生から、コメントをいただきました!

著者:阿部共実

久しぶりの新作です。今回も中学生の話です。自分も子どもの頃を思い出しながら、マンガにしています。
今まさに子どもの方にも、昔 子どもだった大人の方にも、多くの人に読んでもらえるようにと制作しております。
第1巻では、春と夏を描きました。
第2巻に続くのですが、第2巻は第1巻以上に楽しんでもらえるようにと思っています。
よろしくお願いします。


GetsuyoubinoTomodachi_s01

『月曜日の友達』 第1巻
阿部共実 小学館 ¥552+税
(2017年8月30日発売)


これってとってもすごいんじゃないか。私は今、すごいものを目にしているような気がする……。読みながら、なんだかどきどきしてしまうマンガだ。

『ちーちゃんはちょっと足りない』『このマンガがすごい2015』オンナ編 第1位)や『空が灰色だから』で思春期の多感な少年少女の心情をすくってきた阿部共実の、久しぶりの長編作で、舞台は中学校。中学に進級しても子どもっぽさがぬけず、クラスメートとうまくなじめない水谷茜が、同じく友だちがおらず浮いている月野透と、深夜の学校で出会う。2人は毎週、月曜日に会う約束をして――。

さっとあらすじを書くだけでは、「周囲になじめない少女と少年が出会い、秘密を共有して、仲よくなってゆく」というわりと王道の、ありふれた話に思える。けれど、読んでみると、今まで目にしたことがないような、唯一無二って感じのマンガになっているので、どきどきしてしまうのだ。これはいったいぜんたい、どういうことなんだろう……。

繊細で詩的な水谷は、こんな中学1年生いないだろって語彙の豊富さで、自分の見ている風景や感情を表現する。自分を客観視もするし、月野の優しさや気配りに気づくこともできる。周囲となじめず、自分は子どもっぽいと悩んでいるけれど、その点ではかなり大人だ。けれど一方で、将来の夢が空を飛ぶことだったり、恋愛よりひたすら球を打ちまくる野球に興味があったり。そのアンバランスさも、とても魅力的だ。

171010GetsuyoubinoTomodachi_s01_c1

独特な言葉づかいやテンポの会話も魅力的。ちなみに、月野・火木・水谷・金石・土森・日向と、曜日にちなんだ名字の登場人物が出てくる。


単行本情報

  • 『月曜日の友達』 第1巻 Amazonで購入
  • 『ちーちゃんはちょっと足りな… Amazonで購入
  • 『空が灰色だから』 第1巻 Amazonで購入
  • 『死にたくなるしょうもない日… Amazonで購入

関連するオススメ記事!

アクセスランキング

3月の「このマンガがすごい!」WEBランキング