業界注目度No.1!?
「このマンガがすごい!WEB」が誇るランキング選者に協力いただくアンケート集計をもとに、決定される毎月恒例の「このマンガがすごい!」ランキング。今月のランキングは……。
今回は、デビュー当時もマンガファンの注目を集めた話題作家の短編集が第1位にランクイン! 【2015年3月の「このマンガがすごい!」ランキング オンナ編】の第1位に輝いた『さよならガールフレンド』で鮮烈な単行本デビューを飾った漫画家・高野雀が、デビュー前に同人誌で発表した、「女と服」にまつわる短編。育ちも個性もまったく違う4人が紡ぐ物語とは……?
第1位作品はもちろんのこと、ダークで社会にネガティブな「体操のおにいさん」が登場するギャグマンガや、現代のヒヨった男子たちにウンザリしたヒロインがタイムスリップして原始人と出会うラブコメディ、さらにアニメ化も決定したあのガイコツ書店員さんのエッセイマンガ……などなど盛りだくさん!
旬なマンガが多くランクインした今月のランキングを、アンケート回答者のオススメコメントとあわせてチェック!!
(2017年9月1日~9月30日発売作品を集計)
第1位(168ポイント)
『あたらしいひふ』 高野雀
『あたらしいひふ』
高野雀 祥伝社
高橋さんは服にかまわない。気になる先輩に「もう少しかまった方がいい」と言われて悩んだ末に制服風のコーディネートならめんどくないという真理に気づく。高橋さんと同じ会社の別部署に勤務している渡辺さんはずっと「せめて自分が素敵に見える服を」選んでいる。高橋さんと渡辺さんと同じ会社の「受付さん」の鈴木さんは、なんでも平均点で無難な普通の服しか似合わないという悩みがある。そんな鈴木さんの前に現れたのはシステム部のバイトの田中さん。「近所で笑われてんだろうな」と言われる田中さんのことがちょっと、うらやましい鈴木さん。
同じ会社に勤める女性たちがそれぞれの悩みと憧れを交錯させる表題作のほか、高校生たちのちょっと変わった体質をめぐる連作、そして学生時代の仲間だった男性3人が大人になって集まる飲み会でのすれ違いを描く作品など、『さよならガールフレンド』『13月のゆうれい』などの著者がメジャーデビューする前の同人作品に手を加えてコンパイル。
オススメボイス!
■同人誌の再録(加筆修正あり)ということで、やや消化不良な部分はあるものの、セリフまわしにかけては上級レベル。現代の側面をとらえる歴史的作品(早川博志/恭文堂コミッククラフト店)
■『13月のゆうれい』の高野雀の初期短編集。からみつくようでいて淡白で、それでいてやっぱりどこかじっとりしてて、最高(永田希/書評家、Book News運営)
■「女子と洋服」というテーマをこんなふうに読めるとは! 『13月のゆうれい』とあわせて読むと、より楽しめます(井口啓子/文化系ライター)
第2位(90ポイント)
『うらみちお兄さん』 久世岳
『うらみちお兄さん』
久世岳 一迅社
子ども向け番組「ママンとトゥギャザー」の体操のお兄さんこと表田裏道(31歳 独身)は、子ども相手に妙にリアルなコミュニケーションを繰り返すイケメン。体大でエリートだったうらみちお兄さんのダダ漏れなネガティヴ思考もさることながら、後輩のウサオ(兎原跳吉 28歳)とクマオ(熊谷みつ夫 28歳)も生々しくやさぐれている。
陰口で「根暗マッチョ」と呼ばれるうらみちお兄さんの、空元気からの精神の不安定化のギャップがたまらない。被り物をとったウサオ&クマオ、歌のお兄さんもイケメンなのにどこかしら確実に漂う残念感。日常のストレスや孤独を笑い飛ばせないときに読みたい作品。
オススメボイス!
■裏表がある体操のお兄さんという設定にビックリ! よい子のみんなとのかけあいがおもしろいです(宮脇書店 本店/コミック担当)
■『トリマニア』で独特なギャグセンスを魅せた著者の最新作! Pixivでも追っかけてました。子どもたちにダークな真実を語りかける時の、お兄さんの1点も光がささない瞳……最高かな? 人生や仕事上の不条理さに対し、単純に「意味わかんない」「ツライ」っていう感覚をおしげもなく出してくるから、重いのに爽快(はろるどキサラギ/フリー編集者)
第3位(78ポイント)
『原始人彼氏』 北福佳猫
『原始人彼氏』
北福佳猫 白泉社
イケメンの多い高校に通う神米美大(かみごめ・みと)は、モテモテなのに彼氏いない歴17年。「顔だけがよくても何もときめかぬ」と、心の一句を詠んでしまうような日々を過ごしていた美大のもとに現れたのは農業を司る女神・スピカ様。スピカが時空を超えて美大を転移させた250万年前の地球には「理想の彼氏」……そう、ガルヒ猿人がいたのだ!
はじめは言葉の通じなかった2人の距離が徐々に縮まってきたところで、美大は現代に帰ってきてしまい、ガルヒ猿人が絶滅したことを知る。ガルヒを救うために美大は今度はみずから250万年前にタイムスリップする。
肉食を始めたといわれるガルヒ猿人(アウストラロピテクス・ガルヒ)の生きる250万年前の地球は、まるでハリウッド映画のような迫力。ガルヒはもちろんたくましいんだけど、サバンナの生活になんとか適応していく美大もそうとうたくましい!
オススメボイス!
■『俺物語!!』以来の衝撃。「普通に原始人じゃん!」っていう。著者がまじめに描いている(はずだ)からこそおもしろい。1巻の終わりがなかなかにシュールだった。この先どうなるんだ(穂高茉莉/楽器店店員)
■タイトルでやられたが、少女マンガとしてもきちんと成立している。「アウストラロピテクスガルヒは原始人というかヒトに繋がっていないじゃん」という疑問にも物語的な回答が示されている、たんなる出落ちマンガではない( raven/ディレッタント)