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【インタビュー】山口貴由『衛府の七忍』ほかの漫画家も描いた、宮本武蔵に本作で初チャレンジ! 描きたかった「俺の武蔵」とは……!?

2018/03/26


人気漫画家のみなさんに“あの”マンガの製作秘話や、デビュー秘話などをインタビューする「このマンガがすごい!WEB」の大人気コーナー。

今回お話をうかがったのは、山口貴由先生!

徳川家康が力をふるう乱世を舞台に、「怨身忍者」として生まれ変わった少年・カクゴらの戦いを描いた残酷時代劇『衛府の七忍』。『シグルイ』『エクゾスカル零』『覚悟のススメ』で読者からアツい支持を集める漫画家・山口貴由先生の最新作は、『このマンガがすごい!2018』オトコ編にランクインしました。

今回、最新第5巻の発売を記念し、著者の山口貴由先生にインタビューをさせていただきました。本作の制作秘話はもちろん、キャラクターづくりの話など、いろいろ貴重なお話がでてくるなか、前回のインタビューでは、じつは山口先生が「怪獣」好きだということが発覚! 話がさらに広がって、意外な過去も判明しちゃった!?

<インタビュー第1弾も要チェック!>
【インタビュー】山口貴由『衛府の七忍』読者にウケてほしくて描いている! ――著者の「パねぇ」エンターテインメント精神に迫る

著者:山口貴由

1966年生まれ。1985年マンガデビュー。小池一夫の弟子。代表作『覚悟のススメ』『シグルイ』(両作品とも秋田書店)。「月刊チャンピオンRED」(秋田書店)にて『衛府の七忍』連載中。
3月19日(月)に『衛府の七忍』第5巻が発売。


過去には怪獣デザインのオファーも!? 意外な秘話が明らかに

――今回のインタビューでは山口先生の作品のルーツ的なところもうかがおうと思っていたのですが、それが「怪獣」だというのはやや意外でした(前回のインタビュー参照)。

山口  そうですか? わりと怪獣は出してるつもりだったので、バレバレかと思ってましたけど(笑)。

――もちろん、お好きだろうなとは思いつつ、どちらかといえば変身ヒーローや怪人寄りなのかなと。もしくは永井豪・石川賢のラインの影響が強いものだと勝手に想像をしてましたので。

(一同笑)。

山口  じつは圧倒的に怪獣なんです。おそらく人生で一番数多く観た映画って『ゴジラ対メカゴジラ』だと思いますし(笑)。

『ゴジラ対メカゴジラ』は「ゴジラシリーズ」の第14作。ロボット怪獣「メカゴジラ」とゴジラの闘いが当時話題を呼んだ。

――一作目の『ゴジラ』や『モスラ対ゴジラ』ではないあたり、かなりガチっぽい気もしますね。

山口  あのメカゴジラの「ここまでやるか」っていう圧倒的な光線やミサイルの攻撃はスゴイですよ。背負ってる音楽も伊福部昭の重厚な音楽とは違ってジャズなのもいいですし、あとキングシーサーも好きですね。さんざん目覚めの歌をフルコーラスで引っ張ってるのに、思ったほど活躍しないところが(笑)。

――話を聞いてるうちに、たしかに過剰なノリなどのルーツとしてわかるような気もしてきました。ウルトラシリーズのほうも、やはり『ウルトラマン』や『ウルトラセブン』より、『ウルトラマンA』なんですか?

山口  はい。わりとマジメな話、『ウルトラマンA』の最終回で「やさしさを失わないでくれ」から始まるメッセージがあるじゃないですか。そこで語られている「互いに助けあい、どこの国の人たちとも友だちになろうとする気持ちを失わないでくれ」といった精神は、『衛府の七忍』の根底にあるものなんです。ある意味、人種や性別を超えて、命が平等に存在する世界を目指してますから。まぁ、そういうのとはまったく別で、いつか地底怪獣を出したいなと思ってるんですけど……。どんな展開を考えても、自然と地底怪獣が出てくるのは無理があるんですよね(笑)。

――(一同笑)。

――まさかとは思いますけど、散[はらら](本作では波裸羅)が男女一体だったり、居城が「ガラン城」っていうのも『A』の影響だったり……?

山口  いや、ガランは仏教の「伽藍」のほうの意味で使ってます。超獣のガランもいいですけどね。漫画家に操られてるし(笑)。あと、まったくの余談ですけど、『シグルイ』の頃に『ウルトラマンメビウス』が放送されていたんですけど、そこで関わっておられた梶研吾さんが先輩でして、一度怪獣のデザインを考えてみないかって誘われたこともあったんです。でも逆に好きすぎて、軽い気持ちでは引き受けられなくて「検討させてください」みたいになってしまったんですけど、今から考えるとなんで引き受けなかったんだってメチャクチャ後悔してますよ。

――それは見てみたかったですね! 今からでも機会があれば、ぜひチャレンジしていただきたく思いますが。最近は東映作品のほうですけど、久正人さんや麻宮騎亜さんのように漫画家の方がクリーチャーデザインをされるケースも増えていますし。

山口  いやいや、本職の方には敵わないですよ! ……って、こんな話ばかりで大丈夫なんですか?(笑)

――すみません、つい興味深い話だったもので。
で、脱線したついで……というのもなんですが、いわゆるオマージュ的な遊びも『衛府の七忍』には時おり盛られていますよね? たとえば巨具足の「舞六剣(ぶろっけん)」は『エクゾスカル零』にも同じ名前のものは出ていますけど、今回は首を抱えた姿で登場していて「そっちのブロッケンか!」みたいなのとか。

第5巻でそのスケールをいかんなく現した巨具足「舞六剣(ぶろっけん)」! 一瞬「違うマンガを読んでいたのか?」と思ってしまうほどのインパクトだ。

山口  そこに深い考えはいっさいなくて、ただ「好きだから」でやっちゃってますね。レジイナの家臣も、まぁキリシタンということで西洋のモンスターがモデルでもいいかなと思ったので、ドラキュラ・狼男・フランケンっていうおなじみのメンツにしてみたり。あれはリアルタッチで藤子A先生のキャラを描いてみたいっていう、それだけです。

――そういう屈託のなさも『衛府の七忍』ならではかもしれないですね。

西洋モンスターをモチーフにしたという家臣たち。こういったキャラクターデザインなどのマンガづくりにおいての盛りこみが、マンガ読者の心を掴んで離さない山口先生と本作の魅力なのだろう。

単行本情報

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  • 『衛府の七忍』第5巻 Amazonで購入
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