服に興味が持てず、無難な服を着つづける高橋さん。
モードな服をカッコよく着こなす渡辺さん。
すべてが「標準」で、コンサバな服しか着られない自分にコンプレックスを持っている鈴木さん。
他人の意見よりも自分の信じる「かわいい」で武装してきた、ギャルの田中さん――。
好きな服と似合う(と言われる)服が同じとはかぎらないし、自分のために着る服もあれば、人(社会・会社)のために着ている服もある……。
「見た目」に価値を置かれ、評価されがちな女たちとって、服との関係はわりと、いやかなり、ややこしいのだ。そして、みんながみんな、いつもよい落としどころを持てているわけでもない。
物語の最後には、会社帰りに高橋さんの服をギャルの田中さんがいっしょに選びにいく、という展開から、面識があるかないかくらいだった4人が、ばったり集結することに。それぞれが個性も選んできた服も違うけれど、どこかでもやもやしてきたのはおなじ。そのもやもやの原因である「服」を通して、「少しだけみんなの距離が近づいて終わる」という緩やかなシスターフッド的連帯と、わずかな変化の予兆を匂わす結末がすてきだ。
服が好きでも、興味がなくても、わたしたちは毎日なにかしらの服を着なければいけないわけで……。
服に悩んだことがある人(ってことは、たぶんすべての人)に、ぜひ読んでほしいマンガです。
<文・かとうちあき>
人生をより低迷させる旅コミ誌『野宿野郎』の編集長(仮)。野宿が好きです。だらだらしながらマンガを読むのも好きです。