第4位(130ポイント)
『トーキョーエイリアンブラザーズ』 真造圭伍
『トーキョーエイリアンブラザーズ』
真造圭伍 小学館
悠盟大学・裏テニス部に所属する大学生・田中冬ノ介は、サークル活動とナンパに精を出す一見普通の大学生。
しかし、出会った女の子としけこんだラブホテルの一室で彼のことを「弟」と呼ぶ奇妙な不定形生物が現われて……。
地球を移住先にしようとするエイリアンの先遣調査隊として潜伏している弟と、なかなか調査報告をしてこない弟を査定し、見張り役として地球にやって来た兄の2人が織りなす不思議な探訪記。
「宇宙兄弟」ではなく、「宇宙人兄弟」の物語です!
オススメボイス!
■前作もすばらしかったんですが、今回もすばらしいSF! 人間になる前もキュートじゃないですか! おしっこさえしていれば地球は征服されても大丈夫!(宮川元良/恵文社バンビオ店店長)
■地球移住を目指す、宇宙人の兄弟によるトーキョー探訪記。ほのぼのポップだけれど、それだけはない奥行きがあって。ストーリーもだけど、絵(コマワリ、構図)がうますぎて……うっとりします(かとうちあき/「野宿野郎」編集長(仮))
■まさかの宇宙人ものだがその設定を綺麗に織りこんだ第1話は、マンガのお手本のようなストーリーテリング。そして地球侵略や移住といったことが物語の大きな軸ではないというツイストかげんも素敵。単行本1巻としての構成がみごとで、著者にも編集者にも拍手の1冊(happysad/「マンガ一巻読破」管理人)
■大学のリア充は地球侵略の調査のために派遣されていたエイリアンだった。あんな女子と気軽に話をできるなんて人間じゃねえ、って思いから考えられたのでしょうか。その気持は非常によくわかります。そんなモテモテのエイリアンとちょっと変なエイリアンの兄が引き起こすドタバタ物語。オビの星野源さんのコメントのように本当っぽい今の気負いのない東京描写も非常にいいです(すけきょう/ブログ「ポトチャリコミック」管理人)
■三島由紀夫の『美しい星』が映画化されるそうだが、逆の発想で構成されたと思わしき本作でも、やはり愉快な悲哀は人間の側を向いている。利己的な動機で、利他的な言動をするような奇妙さが、異人の目から暴かれる(侍功夫/映画評誌「Bootleg」代表/映画ライター)
■真造圭伍がおくる日常系SF。現代社会をかなりリアルに描いているんだけど、そのなかに生きる人間たちを宇宙人目線でなんだかとぼけたような優しい社会として捉えている。とらえた感覚を精密に描く能力に感服。ずっと読んでいたい(太田和成/あゆみBOOKS五反田店コミック担当)
第5位(106ポイント)
『銀河英雄伝説』 田中芳樹(作)藤崎竜(画)
『銀河英雄伝説』
田中芳樹(作)藤崎竜(画) 集英社
人類が宇宙に進出して1500年あまりの西暦3586年。人類は専制君主制をしく「銀河帝国」と民主共和制の「自由惑星同盟」に分かれて150年以上も争っていた。
ある日、銀河帝国の首都星オーディンに住む平民の少年ジークフリード・キルヒアイスの隣家に没落貴族の少年ラインハルト・フォン・ミューゼルと美しき姉・アンネローゼが越してきたことから物語が始まる。
のちに銀河帝国皇帝の地位にまで上りつめることになるラインハルトと、生涯その唯一無二の親友だったキルヒアイスの少年時代を描いた、大人気大河SF小説のコミカライズ。小説本編では序盤で死ぬこととなるキルヒアイスの視点で描かれているのも特徴的。
まあ何はともあれまずは、田中芳樹×藤崎竜というビッグネームが生み出す化学反応を楽しみましょう。
オススメボイス!
■『封神演義』『屍鬼』と原作に独自の味を加えてコミカライズすることに定評のある藤崎竜による『銀英伝』が登場。1巻の時点では、ラインハルトの少年期にスポットを当てて比較的無難に作っているものの、今後登場するであろう同盟や帝国の軍人たちをどう描くのかが気になるところです(犬紳士/養蜂家)
■かつてアニメにもなった超人気作のリメイク作。自分も『銀英伝』は知っていましたけど、まさかこういう切り口でくるとは! 幼少期からのスタートに藤崎竜の本気が見えた気がしましたけど、同時にどれだけ長い作品になるのか今からちょっと心配になってきましたよ(笑)(いけさん/ブログ「いけさんフロムエル」管理人)
■フジリュー版ラインハルトは美しい! そしてヤンはイケメン! さすがです! 『銀英伝』を新たに知った層にも原作をぜひ読んでほしい!(宮川元良/恵文社バンビオ店店長)
■藤崎版はテンポのよさに引きこまれた。コミカライズが、原作のポテンシャルを再認識させてくれる(卯月鮎/書評家・ゲームコラムニスト)
■フジリュー先生の『銀河英雄伝説』! 『銀英伝』をまったく知らない人には読みやすい? 気がします(福丸泰幸/喜久屋書店漫画館京都店 店長)
■藤崎竜先生が『銀英伝』を「ヤングジャンプ」で連載するとこうなる、という異色なとりあわせを実現させたコミカライズの単行本第1巻。ラインハルトとキルヒアイスの少年時代から丁寧に描いてビシッと「壮大な叙事詩の幕開け」という雰囲気を宿し、もう胸熱くワクワクするしかない立ち上がりです。ラインハルトも姉上も金髪がきらっきらに描きこまれていて神々しいわー(宮本直毅/ライター)
第6位(100ポイント)
『連載終了! 少年ジャンプ黄金期の舞台裏』 巻来功士
『連載終了! 少年ジャンプ黄金期の舞台裏』
巻来功士 イースト・プレス
「週刊少年ジャンプ」で『機械戦士ギルファー』、『メタルK』、『ゴッドサイダー』などを連載、卓抜したエロス&バイオレンス描写でも知られたカルト漫画家が半生をふりかえる実録マンガ。
熱狂的なファンは多いものの、なぜかすべての連載が短命に終わるという異色の作家が描いた、一世を風靡した流行作家とはまた違った視点の漫画家マンガに、もっと続きが読みたいという声が多数!
付録として巻末に収録された堀江信彦氏(「週刊少年ジャンプ」5代目編集長)との対談企画も読みごたえバツグンです。
オススメボイス!
■大ヒットを飛ばして一時代を築いた作家によるものならば若き日の苦労話も微笑ましく読めるけれど、本作はジャンプ黄金期に異彩を放ちながらも大ヒットを飛ばせなかった巻来功士先生による回顧録。漫画家稼業の厳しさ、なかでも「ジャンプ」編集部の厳しさ、容赦のなさをひしひしと感じさせられる内容になっていますが、何より印象に残るのはパーティを高速で移動する荒木飛呂彦……(犬紳士/養蜂家)
■80年代の「ジャンプ」を知っている人は当時を思い出していろいろ興味深いのでは? 『ゴッドサイダー』で知られる巻来先生ですが、連載の裏でいろいろ苦労していたみたいですね(いけさん/ブログ「いけさんフロムエル」管理人)
■『メタルK』世代なので盛り上がって読んだが、作品内での問題提起とは別に、現代マンガ業界の微妙な部分もいろいろ内包している気がした(大西祥平/マンガ評論家)
■『ゴッドサイダー』『メタルK』などの巻来功士先生の自伝的作品。「ジャンプ」黄金期世代の方はぜひ一読を!と言いたいですが、読む人は選ぶ作品かな?とは思います。マンガの裏側に興味がある人は手に取って下さい。最後の対談もいいですよ!(麻野昌三/わんだ~らんどなんば店店長)
■数々の強烈な作品を世に放ってきた巻来氏の少年誌での奮闘と、少年誌からの決別までを描いた自伝的マンガ。すわ、ヴァイオレンスな実録が! と思いきやそうではなく、情熱と苦悩の日々を客観的に見つめて描かれており、先生の人柄もにじみ出ています。初代担当であり「ジャンプ」元編集長であった堀江信彦氏との巻末対談もひっくるめて、読みごたえのある1冊です(さすらい/ブログ「(怒りの以下略)」管理人)
■途中までのおもしろさと終盤の展開のギャップは感じるが当時の作家の生の声としておもしろい。もっと長編でじっくり読んでみたかった(八戸/4コマオブザイヤー主催)
「日刊マンガガイド」でのご紹介は、コチラ!