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『波よ聞いてくれ』第2巻 沙村広明 【日刊マンガガイド】

2016/03/18


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『波よ聞いてくれ』


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『波よ聞いてくれ』第2巻
沙村広明 講談社 ¥590+税
(2016年2月23日発売)


札幌を舞台にしたラジオDJシンデレラ・ストーリーの第2巻。
著者は第1巻のおまけページで「今度こそ、間違いなく、人の死なない漫画」と公言していたが、早くもその約束が反故にされそうに……!?

失恋のヤケ酒中に知り合った地元FM局のチーフディレクター・麻藤兼嗣(まとう・かねつぐ)に、ベシャリの才能を見出された鼓田(こだ)ミナレ。
紆余曲折を経て、なんと冠番組を持つことが決まってしまった。午前3時30分という深い時間帯だが、ノースポンサーで好き勝手にやれるのがキモ。
番組名はズバリ「波よ聞いてくれ」。枠は20分だ。

放送事故を装って一発かましたいという麻藤の野望により、栄えある第1回は架空実況でいくことに。
50万円を持ち逃げした元彼の光雄を刺し殺す衝撃のシーンで幕を開けたこの架空実況は、いつしか予想外のベクトルへと突き進んでいく。

生放送のアクロバチックな架空実況を、ほぼアドリブでやりきったミナレ。
反響も上々で、スープカレー屋のバイト仲間に「道内一のラジオDJを目指す」と宣言、すっかりやる気になっていた。

そこへ現れたのが、ミナレの声をラジオで聴いてメールを送ってきた本物の光雄である。
殺意がふつふつとわき出し、「猟銃・買い方」でググるミナレ。

何も知らずにニコニコとやってくる光雄の命運やいかに――。

てなわけで、まぁ実際に殺人事件が起こるわけではないのだが、ここから2回目の「波よ聞いてくれ」も絡めて、光雄とのラブラブな過去を葬るための儀式が始まる。
このビッグイベントが終われば、いよいよ正式に「“鼓田ミナレの”波よ聞いてくれ」がスタートし、新聞のラテ欄にも名前が記載されることになるのだ。

はたしてミナレはきっちりとドグサレ恋愛にケリをつけ、ラジオDJとして羽ばたくことができるのか?
だれも聴いたことのない、とてつもない放送が、真夜中の北海道に響き始める。



<文・奈良崎コロスケ>
マンガと映画とギャンブルの3本立てライター。中野ブロードウェイの真横に在住し「まんだらけ」と「明屋書店」と「タコシェ」を書庫がわりにしている。著書に『ミミスマ―隣の会話に耳をすませば』(宝島社)

単行本情報

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