話題の“あの”マンガの魅力を、作中カットとともにたっぷり紹介するロングレビュー。ときには漫画家ご本人からのコメントも!
今回紹介するのは『こちら葛飾区亀有公園前派出所』
『こちら葛飾区亀有公園前派出所』 第200巻
秋本治 集英社 ¥700+税
(2016年9月17日発売)
いつまでも続くと信じられていたこち亀(略称)。しかし、「その日」の兆しは早くからあった。
ここ数年の単行本では収録話数と分厚さが増しており、もしや200巻が40周年に発売されるよう調整して、有終の美を飾るつもりでは? と噂されていたのだ。
コミックス最終巻と、最終回を収録した「週刊少年ジャンプ」が同時発売される「その日」はやってきた。
ゴールに向けて着々と積み上げてきたんだなあ……そんな感慨をこめて200巻を読むと、「こち亀が歩んできた40年」が浮かび上がってくる。
長く続くことは、変化を恐れないということ。両さんこと両津勘吉ほど、これを形にしているキャラクターはいない。
連載当初は道をたずねる一般人を怒鳴り散らし、天丼を盗み食いした猫には銃を発砲する荒くれもの。とはいえケンカも体力も人並み、自動車も運転できない「普通の不良警官」だった。
それが200巻では、サバイバルゲームや戦車、自動車レースにサーフィンまで楽しむスーパー警官だ。
あらゆるジャンルに広がったテーマは、両さんが成長した証。ジャンプ主人公は「より強い敵に対して、よりパワーアップ」を繰り返すことがお約束だが、両さんも新たな才能を開花させたり、趣味の幅を広げる「パワーアップ」を重ねてきたのだ。