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【インタビュー】山うた『兎が二匹』 「人の頭をバットで殴りたい」!? 「不老不死は萌え」!!? 死なない女とただの人、悲しき恋はかく生まれたり!!!!

2017/09/18


人気漫画家のみなさんに“あの”マンガの製作秘話や、デビュー秘話などをインタビューする「このマンガがすごい!WEB」の大人気コーナー。

今回お話をうかがったのは、山うた先生!

不老不死の女性・すず(年齢はなんと398歳!)は、恋人の咲朗の手を借りて毎日自殺を繰り返していたが、なかなか死ねない。いっぽう咲朗は彼女の自殺をほう助しながらも、すずとともに生きることを望んでいた。そんな2人の想いはじょじょにすれ違っていき――。

pixivにアップされたセンセーショナルでせつない恋物語が一躍注目を浴び、単行本化されるやいなや、さらに話題を呼んで 『このマンガがすごい!2017』オトコ編にも堂々ランクインした『兎が二匹』。

この作品がデビュー作という著者・山うた先生は、「月刊コミック@バンチ」で、期待の新作『角の男』連載スタートを控えています! 今回、『兎が二匹』ランクインと新連載スタートを記念して、山うた先生にインタビューをさせていただきました。
話題作『兎が二匹』の制作時のお話をうかがってみたところ……山うた先生の緻密な「戦略」、そして、物語の始まりにあった「ヤバイ感覚」が発覚!?

著者:山うた

2015年、「月刊コミック@バンチ」にて『兎が二匹』(単行本全2巻発売中)で商業デビュー、同作で複数のマンガ賞、ランキングにランクインし大きな注目を集める。
「月刊コミック@バンチ」11月号(9月21日発売)より新作『角の男』連載スタート。


pixivから「月刊コミック@バンチ」での連載、 そして『このマンガがすごい!2017』ランクイン!

――デビュー作『兎が二匹』が『このマンガがすごい!2017』オトコ編で第9位にランクインしました。

山うた ありがとうございます。WEBのほうの月刊ランキングでは1巻が10位(2016年4月オトコ編)2巻が6位(2016年7月オトコ編)に入って、それもすごくうれしかったんですけど、「年間でランクインするには月間の時点でもっと上位に入っていないと無理じゃないかなぁ?」って話していたので、まさか入るとは思っていませんでした。

――単純に考えて月刊1位が年に12本あるわけですから、それだけで年間上位が埋まる可能性も充分あるわけですもんね。

山うた だから9位と聞いた時は、「やったー!」って。

――喜んでいただけて何よりです(笑)。

山うた 知名度ゼロのデビュー作ですから、評価いただけたのは本当にうれしかったです。「現代版の『ロミオとジュリエット』」みたいといってくださる方もいて……。

――もともとはpixivの個人ページに投稿した作品なんですよね?

山うた そうです。pixivには短編として投稿したんですけど、ストーリーは単行本の第1話とほとんどいっしょです。ここ(P.37「…死んでまうわ…」)でおしまい。

咲朗の死で終わっていたpixiv版。ここまででも充分にまとまっている物語、どう展開するのか気になった読者も多かったのでは?

咲朗の死で終わっていたpixiv版。ここまででも充分にまとまっている物語、どう展開するのか気になった読者も多かったのでは?


――じゃあ、続きを描くことは、最初から想定していたんですか?

山うた うーん……。新潮社さんから声をかけてもらう前にも、ぼんやりと続きは考えていたんですけど、いまとは全然違う話でした。pixivに掲載していたときに「続きを描くかも」みたいなことを載せていたんですけど、それはまぁ……。フォロワーを増やすためでして……(笑)。

――そもそも、どうして掲載場所をpixivの個人ページにしようと思ったんですか?

山うた 出版社さんに持ちこみとかしても、どうせ私なんて相手にしてもらえないだろうなぁ、と思ってて……。

――いや、そんなことはないと思いますよ(笑)。

山うた 私、もともとWEBデザイナーだったので、アクセス数やビュー数などを考える下地はあったんですね。それでいちばんビュー数が多いと思われるタイミング……学生の夏休み初日にpixivにアップして、ツイッターで拡散して、pixivにログインできない人も想定して特設サイトを立ち上げておけば相乗効果が得られるだろう、と。

――すごく戦略を練っていたんですね!

山うた pixivって、ユーザーがブックマークする時に、その作品のタグをつけてくれることがあるんですよ。で、出版社の方はそのタグを見て、よく読まれている作品をチェックしているみたいなんですね。それでいくつかの出版社さんからお声がけいただいたんですけど、条件面などいろいろ考えたうえで、新潮社さんにお返事したんです。

――学生の夏休み初日っていうと、7月半ばくらいですか?

山うた そうです、そうです。

印象的な作中の夏の風景。夏の物語だから夏公開……なんて理由ではなく、公開時期には戦略的な理由が!

印象的な作中の夏の風景。夏の物語だから夏公開……なんて理由ではなく、公開時期には戦略的な理由が!


――ということは、それ以前にマンガは仕上げていたわけですよね?

山うた はい、けっこう前に。半年くらい前には思いついていました。でも仕事が忙しすぎて、描きながらダラダラしてたんです。でも「これ公開するなら時期を決めなきゃ永遠に終わらないな」と思って、決め打ちで公開日を「夏休み初日」に設定して、サイトもつくったんです。

――あのサイトって、ご自身でつくったんですか?

山うた そうなんです! よく「新潮社さんに特設サイトつくってもらっていいですね、愛されてますね」とか勘違いされるんですけど、自分でつくったんですよ!

――あれだけ立派なサイト、まさか作者自身がつくっているとは思わないですからね(笑)。ただ「夏休み初日」を公開日に設定したということは、作品のターゲット層は学生などを考えていたんですか?

山うた いやぁ、そこは「学生」というよりは「ツイッターで積極的に拡散してくれる層」と考えていました。 ほかのSNS、たとえばFacebookだと拡散しても読んでくれた方の反応が検索できないんですよ。ツイッターのユーザーは年齢層が広いですけど、積極的につぶやく人は若い層が多いですからね。

すれ違う2人を象徴する第1巻のカバーイラスト。この物語がどこから生まれたのかは次ページで!

すれ違う2人を象徴する第1巻のカバーイラスト。この物語がどこから生まれたのかは次ページで!


単行本情報

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