『おねいも』第1巻
詩原ヒロ 講談社 \560+税
(2015年5月22日発売)
3月に『ナイショの戸黒さん』(新潮社)でコミックスデビューしたばかりの詩原(しばら)ヒロが、早くも2つ目のタイトルをリリース。
「モーニング・ツー」にて連載中のド田舎在住姉妹コメディ『おねいも』だ。
主人公は野生動物が跋扈(ばっこ)する山形の片田舎で暮らす、みつえ(姉)といくみ(妹)。
2人とも男っ気は皆無の風情。いくみに至っては「働いたら負け」とニート生活を満喫中である。
ちなみに彼女、夏場は裸族と化して暮らしている(B地区だけはニプレスでカバー)。
みつえのほうはマジメに事務職で働いているが、東北美人なのにバージンをこじらせ、手の届きそうなイケメンの佐川男子に片想い中だ。
特に大事件は起こらないが、芋煮をタヌキに強奪され、イナゴの佃煮を美容食にし、スコップをソリにして雪山を滑りまくる……。そんな四季折々の東北カントリーライフが描かれる。
仕事がなくても、彼氏がいなくても、お金がなくても、じつに楽しそうだ。詩原自身も山形出身であり、「化けものまつり」や「いづめこ人形」といったご当地ネタをバンバン放りこんでくるのもおもしろい。
地味vsがさつな姉妹を描きながらも、そこはかとないエロスが漂っている点にも注目。
まさかイナゴの佃煮を眺めながらヨダレを垂らす女子の表情に、鼻息を荒くするとは思わなかったよ!
<文・奈良崎コロスケ>
マンガ、映画、バクチの3本立てで糊口をしのぐライター。中野ブロードウェイの真横に在住する中央線サブカル糞中年。映画『新宿スワン』(園子温監督/5月30日公開)の劇場用プログラムに参加します。
「ドキュメント毎日くん」