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菅野文『薔薇王の葬列』インタビュー 歴史のおもしろさ=人間のおもしろさ!? 物心ついた頃から歴史が大好き!

2015/07/27


耽美で重厚なダークファンタジー『薔薇王の葬列』も絶好調の菅野文先生。
今回のインタビューでは、菅野先生の名を一躍世に知らしめた大ヒットコミック『オトメン(乙男)』の今だから語れる製作秘話や、マンガ大好き少女だった菅野先生が人気漫画家となるまでの道のりなどなど、気になる話題てんこもりでお届けします!

前回のインタビュー記事はコチラから!

菅野文

東京都出身の女性漫画家。2001年に「花とゆめ」(白泉社)にて『ソウルレスキュー』でデビュー。

以降、主に白泉社出版の雑誌を中心に活躍。代表作の『オトメン(乙男)』はテレビドラマ化もされている。現在、「月刊プリンセス」にて『薔薇王の葬列』を連載中。

Twitter:@kanno_aya

物心ついた時から歴史が大好き!

――菅野文先生といえば一番に『オトメン(乙男)』を思い浮かべる読者が多いと思います。『オトメン』の生まれたきっかけ、執筆中の思い出などを教えてください。

乙女的趣味を持ちつつ男らしいイケメン=「オトメン」は流行語にも。連載期間は7年、単行本全18巻の大作。『薔薇王』も長期連載の予感!

乙女的趣味を持ちつつ男らしいイケメン=「オトメン」は流行語にも。連載期間は7年、単行本全18巻の大作。『薔薇王』も長期連載の予感!

菅野 『オトメン』はネタが浮かんだと同時に「これはいける!」となった初めての作品でした。タイトルとストーリーとキャラクターが同時にできあがったのは『オトメン』だけです。今考えるとあの時は作画もネームもけっこう気楽にやっていた気がします。『薔薇王の葬列』はすべてにおいて倍の時間がかかっています。

『薔薇王』のペン入れ作業を拝見! 美しい原稿はこうやって生まれるのだ。

『薔薇王』のペン入れ作業を拝見! 美しい原稿はこうやって生まれるのだ。

――苦労したことはありましたか?

菅野 とにかく長い連載になったという一点でしたね。長期連載ならではの苦しさを知ることができたのは本当によかったと思います。

――そういえば菅野先生は『北走新選組』『凍鉄の花』『誠のくに』など[注1]、新選組を題材にした作品を描かれていますが、もともと歴史に興味がおありだったのでしょうか。

新撰組シリーズ第3弾となる『誠のくに』は、新撰組三番隊組長の斎藤一を中心としたストーリー。

新撰組シリーズ第3弾となる『誠のくに』は、新撰組三番隊組長の斎藤一を中心としたストーリー。

菅野 歴史はもう物心ついた時から好きでした。歴史のおもしろさは、人間のおもしろさです。人を知る喜びです。文学を読むのも音楽を聴くのも同じ感覚です。マンガも同じですが、自分で描くキャラクターは自分のなかだけで作ったものなので。基本的に人間が好きなので、歴史ものだと相手がいるのでより愛せるという感じでしょうか。

――ほかに歴史もので描いてみたい時代、実在の人物などはいますか?

菅野 ずっと前田利家[注2]を描きたいという気持ちがあるんですが、なかなか実現できないというか、編集さんウケが悪いというか……。あとグループサウンズが好きなので昭和ものを……。両方資料はそろってるんですが(笑)。

――グループサウンズですか!? これはまたマンガにあまり描かれていない題材ですし、菅野先生の華麗な絵でぜひ読んでみたい! すでに資料が揃っているとはすごいですね。

菅野 子どもの頃から新聞が大好きで、政治経済、事件やエンタメなど、なんでも常に調べるのが趣味みたいなものなので。今は『薔薇王』を描いている影響で中世末期のヨーロッパについての関心が高まっているんで、原稿作業をしていない時はずっと資料を読んでいますね。

菅野先生の仕事現場。壁には西洋甲冑をまとった人の写真がたくさん! 西洋騎士のフィギュアまで!!

菅野先生の仕事現場。壁には西洋甲冑をまとった人の写真がたくさん! 西洋騎士のフィギュアまで!!


  • 注1 『北走新選組』『凍鉄の花』『誠のくに』など 3作はすべて菅野先生による新撰組シリーズ。『北走新撰組』は2003年と2004年に「別冊花とゆめ」にて掲載された短編「碧に還る」「散る緋」「殉白」の3作の総称で、単行本も同タイトルで発行された。『凍鉄の花』は「花とゆめ」「花とゆめプラス」にて連載され、2005年に単行本化された新撰組のパラレルストーリー。『誠のくに』は「花とゆめ」にて連載され、2013年に単行本化された新撰組シリーズの第3弾。
  • 注2 前田利家 戦国時代から安土桃山時代にかけて活躍した戦国大名。槍の名手で「槍の又左」の異名を持つ。豊臣秀吉政権では五大老のひとりとなり政権を担い、加賀藩主・前田氏の祖としては加賀百万石の礎を築いた。

単行本情報

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