365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
12月28日はディスクジョッキーの日。本日読むべきマンガは……。
『波よ聞いてくれ』第1巻
沙村広明 講談社 ¥590+税
深夜ラジオ番組の代名詞的存在といえばニッポン放送の『オールナイトニッポン』。
この『オールナイトニッポン』の初代ディスクジョッキーがアナウンサーの糸居五郎だ。
糸井は前身番組『オールナイトジョッキー』のディスクジョッキーを担当し、ビートルズのデビューシングル「ラヴ・ミー・ドゥ」を日本で初めてオンエアしたことでも知られている。
このように音楽の造詣も深く、リスナーからも愛された糸井は、1967年10月のスタートから1981年6月まで足かけ14年にわたって『オールナイトニッポン』のディスクジョッキーを務めた。
その糸井が亡くなったのが1984年12月28日。
ラヂオプレスの上野修が音頭をとる形で、命日がディスクジョッキーの日に制定された。
てなわけで本日紹介するのは、ラジオのディスクジョッキーにスポットを当てた最新作。
先日発売された「このマンガがすごい!2016」オトコ編で6位にランクインした、沙村広明の『波よ聞いてくれ』だ。
舞台は札幌。物語は主人公のミナレ(25歳)がハードな失恋でヤケ酒を喰らうシーンから始まる。
ミナレはたまたま酒場で知り合ったFMラジオ局のディレクターにさんざんクダを巻いて轟沈。記憶があやふやなままバイト先のスープカレー屋に出勤すると、店内にかかるラジオ番組からなぜか自分の声が流れてきて……。
この後は“ジェットコースターのごとき紆余曲折”を経て、ミナレがラジオの冠番組を持つまでに!?
この“ジェットコースターのごとき紆余曲折”についてはコミックスでお確かめいただきたい。
なんの実績もないスープカレー屋のバイト女子がディスクジョッキーデビュー! SNS全盛のいまなら、このような形で地方のラジオ局から革命的なスターが生まれてもなんらおかしくない。
様々なカルチャーに精通した膨大なボキャブラリーを駆使して、ハイテンションでマシンガントークを繰りひろげるミナレの快進撃に胸が躍る!
<文・奈良崎コロスケ>
マンガと映画とギャンブルの3本立てライター。中野ブロードウェイの真横に在住し「まんだらけ」と「明屋書店」と「タコシェ」を書庫がわりにしている。著書に『ミミスマ―隣の会話に耳をすませば』(宝島社)。