365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
6月9日はロックの日。本日読むべきマンガは……。
『小学館文庫 千一夜の鍵』第1巻
さいとうちほ 小学館 ¥562+税
6月9日はロックとLock(鍵)をかけた「我が家のカギを見直す“ロックの日”」。
日本ロックセキュリティ協同組合が制定したこの日は自宅の鍵を通して家の防犯について見直す日だ。
鍵は扉を閉ざすことで危険から己や財産を守る存在。けれど、ときにはそれが何かを解き放つものとなる。
さいとうちほの『千一夜の鍵』は鍵をテーマに、様々な国や時代を舞台にロマンスを描いたオムニバス作品だ。
鍵が新たな道を開いたり、思わぬ出会いを呼びこむ存在として描かれている。
20歳の若さで少女マンガ界の女王といわれる万里は青年漫画家「キング」と結婚するが、女癖の悪さから離婚。
結婚を機に漫画家をやめた万里は、かつての栄光を胸に再びマンガを描こうとするがかなわず、豪奢な生活から一転、狭いボロアパートへ。
そんな時、なくしたと思っていたスーツケースの鍵を見つける。
鍵を使ってあけたスーツケース、そこで見つけたものは……。
この「女王さまのたそがれ」ではスーツケースの鍵、「上海スナイパー」では金庫、「君のためのアリア」はホテルのカードキーを。様々な鍵が人々の運命を変えていく。
人は日々どこかで鍵を使っている。マンガのなかのようなドラマティックな出来事は起きなくても、仕事へ出る時、大切なものをしまう時、車に乗る時も。
何か行動を起こそうとすれば、意外にもあらゆる場所に鍵という存在がある。
いつもよりほんの少し、鍵を意識して生活してみよう。
<文・川俣綾加>
フリーライター、福岡出身。
デザイン・マンガ・アニメ関連の紙媒体・ウェブや、「マンガナイト」などで活動中。
著書に『ビジュアルとキャッチで魅せるPOPの見本帳』、写真集『小雪の怒ってなどいない!!』(岡田モフリシャス名義)。
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