『せっかち伯爵と時間どろぼう』第6巻
久米田康治 講談社 \429+税
(2015年2月17日発売)
『かってに改蔵』や『さよなら絶望先生』でおなじみの久米田康治が送るギャグマンガ。
人類より上の次元の上人類(人間にとって神のような存在)のサンジェルマン伯爵と、やる気がなく時間をむだに使うセレブの時只卓、タイムマシンの製作を夢見る卓の幼なじみの夕仏真心が、時間をつぶしたり、タイムリープしたり、やっぱり時間をむだにしたりする。
久米田康治が得意とする時事ネタや風刺ネタなどがふんだんに盛りこまれており、久米田節炸裂なので、ファンにとってはまったくもって安心して読める作品だ。
最終巻となるこの6巻は、登場人物たちが「連載の打ち切り」をうけ、さまざまな並行世界の打ち切りエンドを潰し、打ち切りを回避しようと画策する。
実際に打ち切りで連載が終了するかどうかの真偽は定かではないが、もしそうだとしても、それすらをネタにするところはさすが久米田康治といったところでしょうか。
今さらながらだが、久米田康治作品と言えばキャラクター名が洒落やモジリであったり、漢字を偏やつくりで再構築して、違う読みかたにすることが多い。今回もご多分に漏れず名前をもじっている。
特に夕仏真心が「タイムマシン」と読めるのは、糸色望の「絶望」につうずるものがあり、それだけで「久米田マンガを読んでいるんだなあ」と感慨深くなった。
<文・岡安学>
デジタルモノなどのガジェット系を中心に雑誌やWebで活動するフリーライター。元ゲーム誌編集者で、ゲームやアニメ、マンガなどのメディアも守備範囲。ソフトとハードのどちらもこなす。現在、生活総合情報サイト「オールアバウト」にてデジカメのガイドも務める。