『ごほうびごはん』第2巻
こもとも子 芳文社 ¥590+税
(2015年7月16日発売)
地方から上京したOLの咲子が、週に一度の「ごほうびごはん」で、慣れない仕事で疲れた自分を自分でねぎらってあげる様を描いたシリーズ第2巻。
「ごほうびごはん」といえば、ちょっと贅沢なランチとか、寿司焼肉的なイベント性の高い外食を想像しがちだが、本書の咲子の「ごほうびごはん」は、外食と自宅料理が半々。
それも海鮮丼、もんじゃ焼き、ハンバーグ……など、スペシャル感には欠けるものも多く、料理や食べ方の描写もやや上品で、いわゆる「めしテロ度」は低いが、それはそれで内気でおっとりした性格の咲子らしく、彼女のにっこり嬉しそうな笑顔に、読んでいるこちらも、ほのぼの癒される。
1巻の「『カリオストロの城』のミートボールスパゲティ」や本巻の「『千と千尋の神隠し』の屋台の水風船みたいなプニプニ肉(台湾の肉圓)」といったファンタジー料理は、本作ならでは。
「伊勢エビカレー」や「ユリ根と銀杏だけのジャンボ茶碗蒸」など、外でお金を出しても食べられない、おうちごはんならではの「贅沢」メニューも魅力。
毎週末ファミレスで極楽TIMEを満喫する本田くんのエピソードは、清野とおる『その「おこだわり」、俺にもくれよ』にも通じるものがあり、間違ってもSNSで自慢できるようなものではないが、だからこそ、プチ贅沢ってこういうもんだよな~としみじみホッコリ。
だれもがんばることを強要され、ストレスやプレッシャーに晒されがちな現代。
せっかくがんばってもだれもほめてくれない……という方も、それぞれの「ごほうびごはん」で自分を甘やかし、明日への活力を養うべし!
<文・井口啓子>
ライター。月刊「ミーツリージョナル」(京阪神エルマガジン社)にて「おんな漫遊記」連載中。「音楽マンガガイドブック」(DU BOOKS)寄稿、リトルマガジン「上村一夫 愛の世界」編集発行。
Twitter:@superpop69