日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『ガールズ&パンツァー リボンの武者』
『ガールズ&パンツァー リボンの武者』第3巻
ガールズ&パンツァー製作委員会(作) 野上武志☓鈴木貴昭(画) KADOKAWA ¥600+税
(2015年11月21日発売)
アニメ『ガールズ&パンツァー(以下・ガルパン)』で描かれる「戦車道」は、ルールを守り正々堂々戦う、乙女のたしなみ。華道や茶道と同じ「道」だ。
これは現在上映中の『ガールズ&パンツァー劇場版』でも変わらない。安全に守られている競技だから、安心して見ることができる。
スピンオフ作品『リボンの武者』で描かれるのは、礼儀も作法もない「強襲戦車競技(タンカスロン)」。
ルールは「10トン以下の戦車を使用」というだけで、あとは何をやってもOK。主催者もいなければ、観客席もない。数で押しつぶすもあり、試合に関係なく横から割りこむもありの、荒っぽい野試合だ。
安全なスポーツ性がウリの戦車道があるにもかかわらず、危険と隣合わせなケンカに少女たちはわざわざ突っこんでいく。
ヒロインの鶴姫(つるき)しずかと松風鈴は、九七式装甲車(通称・テケ車)に乗り、たった1両でこのタンカスロンに参加する。
彼女らは、高らかに名乗りを上げ、弓矢で射抜くように次々相手の戦車を撃破していく。戦略とチームワークがメインだった本家『ガルパン』とは、がらりと思想が異なっている。
第3巻ではついに、『ガルパン』本編の主役・大洗女子学園の生徒との一騎打ちが行われる。
しずかたちから見ると、大洗女子の面々は死線をくぐり抜けた強者だ。
ペイント弾での一騎打ち。アニメ版に登場した強豪校の面々が次々登場。
大洗女子としずかの試合を見た彼女たちのテンションは高まり、戦車道強豪校が次々とタンカスロンに参加しだす。
おのおのに湧きおこるのは「戦いたい」という純粋な欲求。
目
を光らせ、強い相手を探して戦い続ける少女たちの姿は、アニメとは違った情熱にあふれている。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」