日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『マジョンナ 三家本 礼 Extra Works』
『マジョンナ 三家本礼 Extra Works』
三家本 礼 KADOKAWA ¥920+税
(2016年6月25日発売)
実写映画化を果たした『血まみれスケバンチェーンソー』が絶好調の三家本礼。そんな彼の読み切り作品をまとめた短編集が本作だ。
今回が初の単行本収録となる表題作の『マジョンナ』や、実話系の怪談コミックをはじめ、「ホラーM(ミステリー)」やレディコミに掲載された過去作品、そしてカラー絵も多数収録……と、まさにファン必携の1冊。
なお、初収録の作品以外は、既刊の『ゾンビ屋れい子』や『美女アマンダ』の単行本に収録されている短編も少なくはないのだが、それぞれ三家本礼の解説コメントがついているうえ、『スワンの水』と『美女アマンダ』に関しては過去の収録時とは違うバージョンだったりもするので、古くからのファンにとっても安心のバリューであると明言しておきたい。
内容についても軽く触れておくと、まぁ、「このマンガがスゴい! WEB」で三家本礼の作品をレビューするたび、「これはヒドい(褒め言葉)」だとか「どうしようもなく下品(褒め言葉)」などとクドいぐらいに書き続けてきたワケですが、この『マジョンナ』もやはり「ヒデェなこれ!!!(褒め言葉)」といわせていただきたい。
読み切り作品で終わらせておくにはもったいないほどの狂っ……いや、濃厚なキャラクターや、本来はホラーであるにもかかわらず「それはないわ!」と爆笑も禁じえない、あまりにもあんまりなオチの数々といった持ち味は、過去作品でもいかんなく発揮されている。
そして、よほどのコアなマニアでなければ今回の収録で初めて目にするであろう、実話系の怪談コミックに関してはガチで怖い!!!! ちゃんと……というのも失礼千万だが、きっちり怖い作品も描けるんだなぁと再確認できるのもうれしいかぎりだ。
というワケで、血と暴力とナンセンスがどうしようもなく大好きな、どうしようもないナイスな大人には問答無用でオススメです!
<文・大黒秀一>
主に「東映ヒーローMAX」などで特撮・エンタメ周辺記事を執筆中。過剰で過激な作風を好み、「大人の鑑賞に耐えうる」という言葉と観点を何よりも憎む。