日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『碧いホルスの瞳 -男装の女王の物語-』
『碧いホルスの瞳 -男装の女王の物語-』 第2巻
犬童千絵 KADOKAWA ¥620+税
(2016年7月15日発売)
『碧いホルスの瞳 -の女王の物語-』は、今から約3500年前、古代エジプトに実在した希有な女性ファラオ・ハトシェプストをヒロインにした歴史マンガ。『三鬼本家の食卓』の犬童千絵による連載だ。
つけひげをしてエジプトを統治したという逸話が知られるハトシェプストだが、本作は彼女の姿を少女時代から掘りさげていく。
ファラオ・トトメス1世のおてんばな第一王女・シェプストは、いくら剣の腕を上げても女が王になれない国の現状に不満を持っていた。しかも尊大で愚かな異母兄・セティと結婚する王家のしきたりに従わねばならない。だが、強い眼差しをした彼女のもとに、希望を見出した人々が集い始める……。
民の安寧を守るため国を変えようと奮闘するシェプストの姿は、かわいらしさとりりしさを兼ね備え魅力的。また、古代エジプト世界を再現する背景・小道具のビジュアルも、エキゾチックで華やかだ。
はたして王者のあかし「ホルスの眼」に惹かれた少女は、いかにして女王への道をたどるのか?
<文・卯月鮎>
書評家・ゲームコラムニスト。週刊誌や専門誌で書評、ゲーム紹介記事を手掛ける。現在は「S-Fマガジン」(早川書房)でファンタジー時評、「かつくら」でライトノベル時評を連載中。
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