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『ギャルとオタクはわかりあえない。』 第1巻 河合朗 【日刊マンガガイド】

2016/08/30


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『ギャルとオタクはわかりあえない。』


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『ギャルとオタクはわかりあえない。』 第1巻
河合朗 KADOKAWA ¥600+税
(2016年7月27日発売)


タイトルで「ギャルの少女とオタクの少女が対立する話かな?」と思ったら、全然違った。
ドルオタの少女が、ふだんはバリバリにアイドルの追っかけをしているものの、学校ではギャルとして仮面をかぶって過ごしているという、主人公のなかの「ギャル」と「オタク」のせめぎあいの話だ。

早乙女まりあは、見るからにド派手な、ザ・ギャルといった出で立ちの少女。周囲にいるのはギャル仲間。
しかし彼女はTENちゃんというアイドルにゾッコン。ギャル仲間には知られないように、こっそりと推して推して推しまくっている。その入れこみようは半端ではなく、すべてのイベントにほぼ参戦しては、最前列ではちまきを巻いて、TENちゃんサイリウムをバルログ持ち(指の間にはさんで複数持つこと)し、「TENちゃんかわいいTシャツ」を着ているほど。オタクというか宗教なんじゃないですかそれ。

ところが彼女が追いかけていたTENは、クラスで目立たない少女・音無だった。
それでも追っかけはやめられない。オタクのサガか、いや、愛か。

重要なのは「オタクを隠すためギャルを演じている」のではなく、「ギャル」な自分も「オタク」な自分も、好きで楽しんでいるという点。
両方を全力で楽しむためには、きっちり分けておきたい、というのもひとつの選択だ。

そばに自分の好きなアイドルがいるわけだから、さっさと開き直ればいいのだが、そこは「アイドルのTEN」「クラスメイトの音無」と線引きしている。
まりあの妙に硬派な「アイドルオタク哲学」は、くっつきすぎないよう2人の距離をたもっている。それでもTEN=音無に対する複雑な感情は、ほのかな百合の香りを漂わせており、ニヤニヤできる作品だ。



<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」

単行本情報

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