日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『G女子!』
『G女子!』 第3巻
酉川宇宙 徳間書店 ¥580+税
(2016年7月20日発売)
「WEBコミックぜにょん」でネット連載された『G女子!』の単行本完結巻となる第3巻が7月に発売された。
「G」は「自慰」のかけことば。
そのまんまド直球、女子のオナニーをメイン題材とした作品である。
クールで理屈っぽい優等生だが性には疎い「フーミン」と、頭脳も服装もユルいギャルだがこれまたウブな「ナッチ」。
この2人がコンビニでふと見かけた雑誌に書いてあった、女の子はオナニーをしないとアソコが臭くなる! という怪しい特集記事を信じこんでしまうところから物語は幕を開ける。
雑誌によれば、全世界33億人いる女性のうちじつに70パーセントもが自慰を経験しているという……このままでは自分たちだけアソコの匂いがたいへんなことに!? そんなのいや!
とあわてた2人は、もうひとり、コワモテだが純情乙女な「番長」を加えてひとりエッチを研究・実践するグループ「XYZ(くさいの・やだから・絶頂する)団」を結成。
やり方のまったくわからない自慰を文字どおり手探りでためし、オルガスム目ざして励む日々に突入する。
『暴想処女』の酉川宇宙(成年コミックでは榎本ハイツ名義)の作品といえば、性知識のズレでコメディを転がす趣向になるほどと思う読者が多いだろう。
指で、机のカドで、シチュエーション妄想で、SMチックな役割プレイで……。
様々な方法を共有し、お互いに見せっこするのもしょっちゅうなフーミンたち。
ひとりエッチが“ひとり”ではなくなっている構図がおもしろく、さらに、ふと高まった拍子に女の子同士でセクシャルな気分が交錯する瞬間がちょくちょくあって、ドキっとさせられる。
題材はオナニーひとつでも、その扱い方が多彩なので最初から最後までダレず読むことができる。
そして最終巻ではついに、雑誌の内容はウソだと保健の先生からまともなツッコミが入り、急展開。
XYZ団は焦りすぎていたことに気づき、各人が自分の心と身体をしっかりかみあわせて本当のオナニーと絶頂を成就する。
だが、そこで終わらないのが本作のいいところ。
目的をとげたXYZ団を今後どうするのか、いや、そもそものきっかけが間違いだったとなると、自分たちの関係はいったい……と一段深い思案が持ちあがる。
基本ざっくばらんな艶笑コントではあるが、多感な時期のコミュニティ形成を誠実に描いた青春劇としても優秀な『G女子!』。
ひとりエッチを通して育まれたひとりではない仲間の絆がどこに着地するのか、ぜひ見届けていただきたい。
<文・宮本直毅>
ライター。アニメや漫画、あと成人向けゲームについて寄稿する機会が多いです。著書にアダルトゲーム30年の歴史をまとめた『エロゲー文化研究概論』(総合科学出版)。『プリキュア』はSS、フレッシュ、ドキドキを愛好。
Twitter:@miyamo_7