日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『哲学さんと詭弁くん』
『哲学さんと詭弁くん』 第1巻
里好 KADOKAWA ¥620+税
(2016年10月8日発売)
「好きな人同士でグループを組みなさい」。学校でこう言われたとき、あなたはどう感じたか?
無邪気に喜んだ人、余ってしまわないかちょっと不安になった人、それから絶望に打ちひしがれた人……。
あぶれ者になった木辺くんが掃除のパートナーに組まされたのは、やっぱりあぶれ者の折口さん。
木辺くんは見るからに地味で友だちをつくるのがヘタそうだが、折口さんは美人でスタイルもよい女の子なのに、なぜ!?
その理由を、木辺くんはすぐに知ることになる。
彼女はいきなり「人はいかに生きるべきなのだろうか」なんてことを口にする変人なのだった!
しかし、ここで木辺くんはひるまない。
「ぼっち」を己のなかで「孤高人」と変換する彼も哲学の知識や論理的思考にはちょっと自信あり。
さっそく、折口さんの問いを受けて立つのだが、ことごとく論理の破綻を指摘され――木辺くんならぬ「詭弁くん」と不名誉なあだ名をつけられるハメに。
とはいえ、折口さんはなんだか詭弁くんのことを気に入ったらしく、ちょいちょい絡んでくるように。
この変人哲学女子の折口さん、ふだんはポーカーフェイスだが、ときに茶目っ気あふれるキュートさを見せてくれるのがたまらない。
「三段論法」といった専門用語のミニ解説、エピクロス、アリストテレス、孔子、ハイデッガーなど賢人の名前も飛びかうハイパー・インテレクチュアル・コメディ。
理屈と屁理屈がぶつかりあう対話のバトルセッションがクセになるおもしろさだ。
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
ブログ「ド少女文庫」