365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
2月25日はサミュエル・コルトが回転式拳銃の特許を取得した日。本日読むべきマンガは……。
『闇のイージス』 第15巻
七月鏡一(作) 藤原芳秀(画) 小学館 ¥505+税
1836年の2月25日、アメリカ合衆国の発明家・サミュエル・コルトは「リボルバー拳銃」で特許第X9430号を取得した。
若い頃手に入れた乗馬用拳銃に惹かれたことに端を発するコルトの発明熱は「連射可能な銃」に向けられて、1832年にカルカッタへ渡航する際に乗った船の動輪から、彼は回転式拳銃(リボルバー)の着想に至ったという。
同年4月にコルトは「コルト特許武器製造会社(のちコルト・ファイヤーアームズ)」を設立、機械化・量産化開発を重ねてSAAピースメーカーが米軍制式拳銃に採用されるなどして拳銃メーカー「コルト」の名声は飛躍的に高まった。
コルト社製のリボルバーには商品名に蛇の名前を冠するものが多く、なかでも有名なのは1955年に発表された「コルト・パイソン」だ。357マグナム弾を発射できて、調整に手作業が必要なことから競合他社のものより高価だったパイソンは公的機関での採用はなかったが、その希少性やフォルムの美しさから洋の東西を問わず映像作品で使われることが多い。
このことはマンガにおいても同じことがいえるようで、『ゴルゴ13』をはじめ『シティーハンター』、『ワイルド7』など、主役あるいは主役クラスのキャラクターがパイソンを愛用する。
七月鏡一・原作、藤原芳秀・作画の『ジーザス』の主人公である超一流の殺し屋・ジーザスも銃身3インチのコルト・コンバットパイソンを使っている。これは射撃時の反動軽減にグリップをクルミ材にしたカスタム品で、経歴を偽り教師を装う際にも肌身離さず携行しているため、重度のミリタリーオタクと思われているという。
そんなジーザスは、その世界観を引き継いだ七月×藤原コンビの次作『闇のイージス』にも登場する。
『闇のイージス』は、殺し屋のジーザスに対して「護り屋」の楯雁人(たて・かりと)が主人公だ。殺しをせず、殺しに荷担しないことを信条とし、依頼とあればなんぴとたりとも守りぬくことから闇社会でついたあだ名が「イージスの楯」。武器がわりに使用するのはマグナム弾にも耐える強度を持ち、精密動作が可能な筋電義手を操っての格闘術である。
雁人とジーザスには共通点がある。それは2人の背中につけられた+字の大きな傷で、これは「蝶(バタフライ)」と呼ばれるカリスマテロリストが素養を認めた人間にのみ刻みこむ「テロリストの紋章」だという。
本来は反目するはずの2人は、それぞれ家族や仲間の仇敵とねらう「蝶」をめぐって何度かめぐりあうが、特に第15・16巻ではいよいよ「蝶」との直接対決という場面に2人が顔を揃えることに。
それまで謎のままだった「蝶」の正体や、義手を失った雁人の窮地、殺し屋としての宿命に葛藤するジーザスなど見どころも盛りだくさんで、中盤のクライマックスとして堂々の読みごたえである。
<文・富士見大>
拳銃と言えばオートマチックよりリボルバー派の編集・ライター。特撮のあれこれやマンガのあれこれに携わり、最近作は『「仮面ライダー」超解析 平成ライダー新世紀』、『「ウルトラマン超解析」大怪獣激闘ヒストリー!』。2月1日発売の「東映ヒーローMAX Vol.55」にも参加しています。