そのキャラだから言える“名言”がいっぱい!
——『アオハライド』は恋の名言・哲学がいっぱいだと常々思っています。たとえば、5巻の「じりじりと探り合うあと一ミリみたいな言葉と態度は こんなにドキドキして心地いいものだったっけ」……恋が進展する渦中のときめきを言いあらわした名言だと思います!
咲坂 こういう気持ちを感じるのは、恋愛でいちばん楽しい瞬間だと思うんです。これは絶対、共感していただける感覚だと信じて描きました。
——この「あと一ミリ」という想いを、双葉はずっと心のなかに持っていますよね。冬馬とつきあい始めてからも、洸に気持ちが揺らいでしまうのは、その時の想いがまだ深く心に根づいているからなのでしょうね。10巻の、双葉と洸が一緒に流れ星を見る場面に、その想いが描かれていますが。
咲坂 このエピソードでは、双葉の微妙な心理を私らしく描けたんじゃないかなと……印象に残っています。
——そして、独断ですが……洸の屈指のカッコいいシーンといえば、洸が双葉に「イヤなら逃げればいい」と言ってからキスをする場面。キメるときは正面からキメる男らしさに胸キュンです!
咲坂 この強気なセリフのあとの「イヤじゃないなら〜」のセリフに合わせる表情は切なげというか、洸の根っこの性質が表せればいいなと思いながら描きました。納得のいく表情が描けたと思っています。
——また、洸を想い続ける強力なライバル、成海さんも敵ながらあっぱれなキャラクター。双葉に向かって「同情でもいい、洸ちゃんが欲しい」と宣言するシーンはカッコよささえ感じます。
咲坂 成海さんは「すごく正直な人」というイメージで描いたぶん、いちばん人間らしくて、私的に憎めない人になりました。この場面は、双葉がぐうの音も出ないようにしたかったですね。双葉がまだキレイごとですませている部分をぶっ壊したい気持ちで描いていたので、成海には直球のセリフしか言わせないと決めていたので……だいぶ辛辣な感じになってしまいましたけど。
——双葉もだいぶ変わりましたよね。冬馬とつきあいながらも、疑問をはっきりと口に出して、相手と向き合おうという姿勢に心打たれます。「だけど実際にある物を見ないフリして付き合っていくのはおかしいと思う」なんて、なかなか言えないセリフですよね。
咲坂 見ないふりをしてつきあっていける人もいるかもですが、双葉にはそれはきっとできないだろうし、双葉の選択肢はこれしかないと思いました。双葉らしいセリフだと思います。
次回、絶賛放送中のアニメ、そして2014年12月に公開が予定されている映画、さらには気になる今後についても迫る!
取材・構成:粟生こずえ