月曜日が楽しみになるように……阿部先生の本作への想い
――描いている時に、読者に「こう思ってもらいたい」とか「こういうことについて考えてほしい」といった思いはありましたか?
阿部 逆にそういうことを考えずに読んでもらいたいですね。いろんな感想があったらうれしいです。読む人の経験や環境、性格で、イメージが変わる部分はけっこうあると思います。そのかわりこちらも、その甲斐があるようにたくさん詰めこむよう努めています。そのなかでお好きなように受け取ってもらったり、楽しんでもらえれば、と思います。
――読者がいろんな受け取り方をしてもよい、と。
阿部 自分は自分のマンガを全力で描きますが、読者の方には好きに読んでもらいたい、という気持ちもあります。押しつけるよりかは、読者のなかで何か少しでも感じることがあれば幸いです。別に何かを感じてもらわなくたっても、暇つぶしになれば、それだけでも光栄です。
――読者の想像力や読む楽しみは制限したくないんですね。
阿部 そうですね。そしてこれは昔から思っていることなのですが、マンガは読者の日々の生活のちょっとしたプラスになって、生活に楽しみを与えられればいい、と思います。たとえば「週刊スピリッツ」は、多くの人にとって気の重い月曜日に出ます。「会社や学校が嫌だなあ」って気持ちのなかに、少しでも「明日は「スピリッツ」の発売日だから、それは楽しみだ」みたいになればいいなと。そういう気持ちをよりイメージして『月曜日の友達』はつくりました。連載は隔週でしたけど。
――たしかにマンガ誌は、我々にとって「月曜日の友達」です!
阿部 月曜日は「週刊少年ジャンプ」や「ヤングマガジン」も出て、メジャー3誌が日本に元気を配ってる、って感じがすばらしいです。自分には「エンターテイメント業の人たちとはチーム戦をしてる」という気持ちもあります。大きなくくりですが。少しでも日本の元気に貢献できたら光栄ですが、ただこちらとしても、一読で単行本も必要だと思わせるくらいには引きずりこみたいという気持ちでやっています。
――2月23日(金)には第2集が発売されました。まだ未読の方へは、どういう作品と説明しましょうか?
阿部 だれでも読めるマンガをめざしました。中学生の女の子が男の子と出会い、友情や青春にてんやわんや、って感じです。そのへんを楽しんでもらえれば。
――では、次回作の展望をお聞かせください。
阿部 言葉は多くのジャンルに与えられた武器だと思います。しかし、今作のようにセリフや絵の比重が強い作品は、自分には何かと難しく、とにかくたいへんでした。時間をたくさんいただいたうえで、好き勝手にやらせてもらってできたマンガです。すごくやりがいがありましたが、時間かけて描きだめの短い巻で終わるというのはしばらくはもういいかなと思います。それに週刊や月刊や人気長編作品など常にマンガ業界を盛りあげてくださってる人がいるから、短編を数年に1~2冊だけ出すというスタイルも許されるというのもあるので、個人的にもいろいろ変えていきたいです。どうなるかわかりませんが。
――え、そうなんですか?
阿部 次からは、また作風のバランスとかも変わっていくと思います。次回作では、またあらたな自分を見せられたらな、と思っています。
――最後に読者にメッセージをお願いします。
阿部 外面的な作風は徐々に変えていっていますが、描いてることは昔から大きく変わってないと思います。いままでの自分の作品を読んでくれた方にも読んでもらえれば幸いです。『月曜日の友達』で初めて自分の作品に触れた方も、ほかの作品に興味を持っていただけたら幸いです。
――本当にすばらしい作品をありがとうございました。
取材・構成:加山竜司
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