自身初の単行本が『このマンガがすごい!2019』オンナ編第1位に!
12月11日に発売された、『このマンガがすごい!2019』にて、オンナ編第1位に輝いた『メタモルフォーゼの縁側』。
デビューから11年、初の単行本となった今作で鶴谷香央理先生が描いたのは、
75歳になってからBLにハマったおばあちゃんと、BLが好きであることを隠している女子高生の物語。
書店で偶然出会った2人は、BL好きという共通点をきっかけに、年齢の差を超えて気のあう友人に!
BL×おばあちゃんという意外性もさることながら、"好きなもの"を通じて育まれる友情の尊さが魅力の本作。
圧倒的指示を得て『このマンガがすごい!2019』オンナ編第1位に!
「コミックNewtype」で連載がスタートするやいなや、SNSなどで話題沸騰となった今作を、本誌『このマンガがすごい!2019』ではレビューだけでなく、全8ページにわたる鶴谷先生のインタビューが掲載中!
そして今回、誌面の関係上、紹介しきれなかったお話を盛りこんだディレクターズカット版として、「このマンガがすごい!WEB」限定で鶴谷香央理先生のインタビューを前後編の2回に分けてお届けします!
全マンガファン注目のインタビュー、まずは前編からスタート。刮目してご覧あれ!!
特別インタビューの全文は『このマンガがすごい!2019』にて大公開!
鶴谷先生による描き下ろしイラストも要チェックだ!
『このマンガがすごい! 2019』
『このマンガがすごい!』編集部(編) 宝島社 ¥680+税
(2018年12月11日発売)
BLを好きになったときめき体験をマンガに
──『メタモルフォーゼの縁側』は初めての単行本ですよね。
鶴谷 そうです。単行本が出せてちょっと夢見心地というか……。1巻は5月に出たのですが発売当日はそわそわして、締切前なのに1日中ツイッターでエゴサーチをしてました(笑)。本屋に並んでるだけでうれしすぎて、ぼーっとした状態で。現実感がなかったですね。
──その初単行本での第1位獲得、おめでとうございます!
鶴谷 本当にびっくりしてまして、信じられないというのが正直なところです。担当さんから電話がかかってきた時、思わず正座しました。自分としてもうれしいですし、今まで応援してくださった方、読者の方々にも喜んでもらえると思うとそれが一番うれしいです。
小学生の時からマンガ浸り。描くより「読みたい」欲が軸だった
──鶴谷先生のマンガ歴からおうかがいしたいと思います。子どもの頃はどんなマンガを読んでいたのでしょうか。
鶴谷 少女マンガが大好きでした! 小学生の頃は私が「りぼん」、妹が「なかよし」を買ってもらっていたので、取りかえっこして読んでいましたね。それから、通っていたピアノ教室で順番を待つ間、そこに置いてあるマンガを読みふけったり。
──その当時、特に夢中になったのは?
鶴谷 一番は『ときめきトゥナイト』ですかね。ドタバタコメディの要素が入っているのが好きで、『はいからさんが通る』も愛読しました。とにかく少女マンガにどっぷりつかってましたね。中学生の時、たまたまBL小説を読んでおもしろいと感じたものの、そこにまっすぐいくことはなくて……。というのも、それが一大ジャンルだとは知らなかったんです。中学生になると、「週刊少年ジャンプ」を読むようになります。知り合いのお兄ちゃんに毎週もらうようになって。
──どんな作品を読んでいましたか?
鶴谷 『スラムダンク』、『ジョジョの奇妙な冒険』、『ドラゴンボール』とか。 「ジョジョ」が大好きになったのは大人になってからですね。当時はあまりわからなくて……でも、それなりに楽しんで読んでいました。高校くらいからは青年マンガも読むようになって。でも、少女マンガも読み続けていましたね。くらもちふさこ作品に出会って衝撃を受けたのもこの頃です。
──途切れなくマンガを読み、着々とジャンルを広げていったんですね。マンガを描き始めたのは?
鶴谷 初めて描いたのは大学生と遅いんです。サークルで趣味程度にマンガを描いたりしていたけど、読むほうが断然好きでした。今も本屋を見かけたら、入らずにいられないです。
──サークルではどんなマンガを描いていたのでしょう。
鶴谷 4ページくらいのショートとかですね。じつは、漫画家を目指そうと思ったのは、就活がうまくいかなさすぎたためなんです。でも、そう簡単にいくわけもありませんでした。
アシスタント時代に、「このマンガがすごい!」インタビューに立ち会って!?
──どんな作品を投稿していたんですか?
鶴谷 少女マンガを描きたくて「別冊マーガレット」とかに投稿してたんです。
──キラキラの少女マンガタッチで!?
鶴谷 がんばって描いたんですけど……「別マ」で要求されるようなきれいな女の子と男の子をうまく描けなかったですね。あと、描いてみて初めて、そこまで恋愛ものを描きたいわけじゃなかったと気づきました(笑)。読むのは好きなんですけど。そのあと青年誌に投稿して、賞はもらったのですが連載には至らず。それからアシスタントを始めて……漫画家を目指そうとしてから"Like This"というWebサイトで『don’t like this』で初めて連載をするまで、気づけば10年経っていましたね。
『don't like this』
鶴谷香央理 リイド社 ¥760+税
(2018年11月8日発売)
──アシスタントはずっと同じ方のところで?
鶴谷 中村光さん、古谷実さん、山崎紗也夏さん、鳥飼茜さん、最富キョウスケさんのところで、だいたい3年くらいずつ。じつは私、鳥飼さんの仕事場に粟生さん(この記事のインタビューアー)がいらした時、そこにいたんですよ。
──えっ!? というと……『地獄のガールフレンド』が「このマンガがすごい!2016」オンナ編16位ランクインのインタビューの時ですか?
鶴谷 そうです。さっきお会いした時、「あ、鳥飼さんのインタビューにいらした方だな」って……。
──それは感慨深いものがありますね! しかし、そうそうたる先生方のアシスタントを務めるなかで、身についたことは多かったのでは。
鶴谷 背景の技術などはもちろん、作家さんそれぞれのプロとしての姿勢を目の当たりにしたことがすごく勉強になりました。みなさん自分の作品を大事に、プライドを持って仕事をしていらっしゃるんだと。
──人気作家でも日々苦しんでいる、そういう姿もそばで見ているわけですね。
鶴谷 そうですね。みなさんたいへんな思いをして描かれているんだなと。