いきいきとした表情を描きたい、感情を描きたい!
——おいしそうに食べる登場人物たちの豊かな表情も、見どころですよね!
雨隠 私は顔を描くのがすごく好きなんです。表情が生きるように、絵を見せたいと意識して描いてます。
——想いを言葉にできずに黙っている場面でも、表情がとても雄弁だと思います。それにしても、つむぎのしぐさといい言葉といい、どうしてこんなに上手に子どもを描けるんですか?
雨隠 もともと子どもが好きで……漫画家になる前に、短期間ですが幼稚園の先生をしていたせいかもしれません。
——納得です! ちょっとませたことを言ったりするのも、子どもらしいかわいらしさで「ああ、こういう子いる!」と思ってしまいます。
雨隠 女の子って、流行ってる言葉を吸収するのが早いんですよ。
——犬塚先生がつむぎに、何か言い聞かせるときはしゃがんで目線を合わせたりしますよね。そんなところにも、教師としての姿との違いが見えて、リアルに感じます。
雨隠 ありがとうございます。子どもってテンション上がってると、ちゃんと目を合わせないと話聞いてくれないんですよ!
——さすが、経験が生きてますね! ちなみに『甘々と稲妻』というタイトルはどういう意図からつけたのでしょう。
雨隠 当初はもっとわかりやすい、いかにもほのぼの料理マンガっぽいタイトルを提案したのですが……却下されまして。
担当 「good!アフタヌーン」のチーフいわく、雨隠先生が前に描いた短編作の「花花星星」というタイトルがよかったから……わかりやすさよりも感覚的でいい、雨隠先生らしいセンスが生きているタイトルが欲しい、と。
雨隠 と言われましても……悩みに悩んだんですけど(笑)。詩の書き方の本をパラパラ見ていたら、詩というのは「美しい」を別の言葉で表現することだ、というようなことが書いてあったんですね。じゃあ、自分の気持ちの中にある作品イメージを別の言葉に置き換えようと。『甘々と稲妻』を出したとき、担当さんはすぐに「わかる!」と言ってくださってうれしかったですね。想いを共有できた、と。
担当 当のチーフは「わからないけど、俺がわからないからこれでいい」と、OKをくれたんです(笑)。
——チーフさん、なんだかかっこいいですね!
雨隠 苦労しましたけど……粘ってよかったです。ともに作品に熱を注いでくださる編集さんに恵まれていると思います。1巻の発売のときは担当さんが「絶対におもしろいから広めよう!」と、書店さんに積極的にアプローチしてくださって。
——「このマンガがすごい!2014」オトコ編8位にランクインしたと知ったときはいかがでしたか?
雨隠 ただただビックリでした。そういうことがあるとしても、もっと先のことかと思っていたので。担当さんや、書店さんも応援してくださったおかげだと感謝しています。ランクインは、また新しい読者さんが手に取ってくださるきっかけになるので、とてもありがたいです!
次回、雨隠先生のうちに流れるマンガのルーツを探る!
【インタビュー】大切なのは「ギャップ萌え」と「カタルシス」! 『甘々と稲妻』雨隠ギド【後編】
プレゼントのお知らせ
雨隠ギド先生の直筆サイン入り『甘々と稲妻』単行本第2巻を3名様にプレゼント!
下記の専用アンケートフォームから必要事項をご記入のうえ、ご応募ください。
雨隠ギド先生プレゼント応募フォーム
たくさんのご応募、お待ちしております!
プレゼント応募は締め切りました。たくさんのご応募、誠にありがとうございました!
取材・構成:粟生こずえ
撮影:辺見真也