衝撃発言! 「『デデデデ』は紙の雑誌に描く最後の連載かも。」
──連載スタートから2年半。ストーリーは単行本第5巻で、全体のどのくらいまで来ていますか? そろそろ最終コーナー?
浅野 いやいや、まだプロローグですよ。ただ本編に入ったらすぐに終わってしまうかもしれません。まだそのつもりはないですけどね。それというのも、『デデデデ』を始める時に、「もしかしたら、これが紙の雑誌に描く最後の連載なんじゃないかな」って思ったんですよ。
──マンガ雑誌を取りまく状況が不透明ですものね。
浅野 ええ。今は雑誌の粗い紙に印刷された白黒を意識した絵になっているんですけど、WEBならばカラーでやればいいじゃないですか。だから最後に「白黒ならではの絵」で描いておこうかなっていう部分もあります。
──紙のマンガならではの文法も意識されていますか?
浅野 変化でいえば、僕は今までコマの外にフキダシがあったんですよ。それが『デデデデ』からは全部コマのなかに入れています。そういうところで個性出すのは、もうヤメようと思って。このほうが、すっきりして描きやすいんですよ。
──デフォルメされたキャラもそうですが、よりマンガ的な手法に回帰されている部分も多々あるのですね。
浅野 たしかに古典的なものを取りいれていますね。構図に関しても、僕の場合は写真ありきでキャラが配置されるんです。だから全部パースがかかった構図になる。そもそもパースをかけずに俯瞰で描く手法が、すごく嫌だった。それは、存在しない視点なので。でも、そういうものも取りいれるようになった。今までの僕のマンガって、極端なヒキとアップしかなかったんです。でも『デデデデ』には、コマのなかに全身が入る感じで淡々と続いていくコマ割りもあります。
──『イソべやん』を描いたことで気づいた点もありそうですね。
浅野 そうですね。やっぱり昔のマンガは読みやすいですよ。まぁ、あの頭身じゃないと成り立たない面もあるけど。
──浅野先生のマンガのスタイルも古典を吸収しつつ、デジタルを駆使して進化しているんですね。
浅野 進化しているとは思いますけど……。バカみたいですよね。1コマのために3Dの15万円くらいする素材を買ったりして(笑)。まぁ、そういうことにおもしろさを感じているのでしかたないです。
──仕事以外の息抜きでしていることってありますか?
浅野 昔から息抜きみたいなことができなくて……。休載を挟むようになってから、これまでのように定期的に締め切りが来るのではなく、半年に1回忙しいタームがやってくるような感じなので、1話終わっても「すぐ次をやろう」みたいな感じで。特に区切りもないんですよ。
──あまり外へ遊びにいったりもしないんですか?
浅野 最近、ますますインドアになってしまって。もともとファミレスでネームをやるようなタイプでもないし、資料用に写真を撮りにいく機会も減ってしまったんですね。行く時はマトメ撮りするようになったので。
──それでストレスがたまらないのならいいですけど。
浅野 ストレスは超たまります。でもマンガの作業にモチベーションが上がらないことはあるけど 煮詰まるようなことはないんです。そのかわり人生が煮詰まってきてるけど、こればかりは、どうにもならない。
──だ、大丈夫ですか!?
浅野 ただ30代になってから非常に楽しいんですよ。もう人生のオマケというか、ボーナスステージみたいな感じで。気楽でもあり、ものすごくムナしくもある。この感じがおもしろいんですよね。これまで中年主人公の作品がなかったので、短めのモノでやろうかなと考えています。
──それはぜひ読んでみたい。
浅野 『デデデデ』の場合は僕の普段の生活が反映されることはほぼないので、たまってきた個人的な感情だとか、そういうものも描く場所が必要かなと。
──40代以降の浅野先生がどんなマンガを描くのかも楽しみです。
浅野 マンガらしいマンガは『デデデデ』でやれるだけやって、40歳になったら違うものをやっているでしょうね。ただ、今現在はクオリティの高いものを作ろうと、しっかりやっていますので、これからもよろしくお願いします。
『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』 第5巻
浅野いにお 小学館 ¥750+税
(2016年9月30日発売)
浅野先生の最後の紙媒体連載作品になるかもしれない(?)、『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』。
最新単行本第5巻は、9月30日より好評発売中! 前回のインタビュー第1弾&今回のインタビュー第2弾を読んで、余すところなく『デデデデ』を楽しんでください!
取材・構成:奈良崎コロスケ